鉄骨柱の溶接でロボット用の新工法、継ぎ目を削減ロボット

竹中工務店は、溶接ロボットに特化した新工法を開発した。人の作業をロボットが代替することで、熟練溶接技能者の高齢化や減少に対応することが可能になる。

» 2019年11月25日 07時00分 公開
[BUILT]

 竹中工務店は、高層建物における鉄骨柱の溶接で、ロボットの作業を容易にする新溶接工法を開発した。

継ぎ目処理の作業負担が軽減

 従来、ロボットを用いた鉄骨柱(角形断面)の溶接は、柱の4つの面をロボットが一面ずつ直線的に作業していたが、柱の角はロボットによる溶接が取り合うという問題点があった。そのため、角の部分に関しては、熟練溶接技能者が柱と柱の継ぎ目の状態を確認しながら、溶接を行っていた。

 新工法は、溶接する柱の角に仕切り部分を設け、各ロボットの作業範囲を明確にすることで、柱の角も含めロボットによる溶接を可能にする。これまで人が行っていた溶接作業をロボットが代替することで、人にかかる負担の軽減、熟練溶接技能者の高齢化や減少への対応、建物の安定した品質確保が実現する。また、骨製作工場での部材接合部の加工は、今までの延長で対応することができるという。

従来工法と新工法の比較 出典:竹中工務店

 開発の背景について、竹中工務店では、建設現場におけるロボット活用は、人の作業をそのままロボットに置き換えるのみで、部材接合や施工方法などは従来のままというケースが多いと指摘する。そのため、これまでの施工方法では、人が作業する前提のため、ロボットにとっては合理的とはいえない。

 竹中工務店は2019年4月以来、東京都内の建設現場において、異なる形状の柱や梁(コラム形状柱および大梁フランジ)に可搬型の溶接ロボットを適用し、安定した溶接品質の確保、熟練溶接技能者の代替となり得ることを検証してきた。

 今後は新工法の適用範囲を拡大し、全店でのロボット普及・展開を推進していくとしている。

ロボットによる溶接 出典:竹中工務店

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