JFEエンジらがプラント建設で役立つ3機種を開発、機器据付時間を90%減らすロボとは?ロボット(2/3 ページ)

» 2021年12月14日 08時30分 公開
[遠藤和宏BUILT]

従来手法と比較し資材運搬作業の人員を50%削減

 Carryfは段差のある狭小空間で重量のある資機材を搬送可能なロボットで、最大乗り越え段差は200ミリ。運べる重さは5トンで、走行パターンは専用コントローラーによる四輪操舵、その場での旋回、横行の3種類を用意し、あらかじめ運搬ルートを入力することで自動搬送も行える。専用コントローラーとCarryfの通信はBluetoothで行われる。

赤い発電機を搭載した資機材運搬ロボット「Carryf」

 細谷氏は、「当社で調査した結果、Carryfによる資材搬送は、これまでの方法と比べ、人員を約50%減らせることが判明している」と有効性を語った。

 また、「今後は、4台のCarryfをつなげられるようにし運搬荷重量を増加する他、現行品よりホイールを増量し運搬荷重量を増やす。加えて、ECoCaと同様に、自動位置認識技術の導入やBIMと空間情報などの処理を行えるようにし安全な資機材の搬送を実現する」とコメントした。

 安全性に関しては、バンパースイッチを2カ所に備え、障害物の接近時に検知し警告音を鳴らして機体を停止させるエリアセンサーも装着している。

Carryfによる資材搬送と従来手法の比較

配管とダクトの据付ロボット「Dexhand」

 Dexhandは、配管とダクトの上架や据付を1台で実現するロボットで、対象物を把持する「グリッパー」、グリッパーを移動するクレーン部、走行用のキャタピラー部で構成される。特徴は起重機が入れない狭小な場所での揚重作業が行える点。グリッパーは、軽量化している他、7軸での駆動を採用しており精密な位置合わせに応じ、広範な配管径に対応する。グリッパーの素材は軽量で高強度の炭素繊維強化プラスチックを採用している。

配管とダクトの据付ロボット「Dexhand」

 クレーン部の動作パターンは「起伏」「旋回」「伸縮」で、グリッパーは「把持」「回転」「首振りの縦(動作範囲120度)」「首振りの横(動作範囲±30度)」。クレーン部とキャタピラー部の操作は専用コントローラーで、グリッパーの操縦はグリッパー用のコントローラーで行い、いずれも通信には2.4GHzのWi-Fiを使う。

 さらに、グリッパーを他のアタッチメントに交換することで、さまざまな用途に使える。安全性に関して、本体のモニター上で持ち上げられる対象物の重さを随時表示し、動作中は取り付けられた三色回転灯が点灯し周囲にアラートを発せる。

 細谷氏は、「当社のリサーチ結果によれば、Dexhandを用いたプラント内の配管とダクトの据付工事は、これまでの方法と比較して、作業時間を30%カットすることが分かっている。将来は、対象物を把持しながらの走行や小型化と軽量化に対応し、グリッパーの種類を増やす」と話す。

Dexhandによる配管とダクトの据付と従来手法の比較
アクティオ 代表取締役社長 小沼直人氏

 アクティオの小沼氏は、「今回開発した3機種は、岡谷鋼機が販売し、リースは当社が担当する。JFEエンジニアリングは、他社より安価にリースを受けられ、販売した際には、ロイヤリティーを受け取る予定だ。3社の検証により、各ロボットは、短時間の教育で扱えることが判明しているため、導入後に迅速に使える見通しだ」と各社の役割を述べた。

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