都市共同化事業を採用した延べ1.5万のマンションが築地で竣工、旭化成不動産レジデンスプロジェクト(1/2 ページ)

旭化成不動産レジデンスは、東京都中央区築地で開発を進めていたマンション「アトラス築地」が2021年10月下旬に竣工したことを公表した。

» 2021年11月01日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 旭化成不動産レジデンスは、東京都中央区築地で2021年10月下旬に竣工したマンション「アトラス築地」の内覧会を同月25日に開いた。

 会場では、旭化成不動産レジデンス 開発営業本部 営業推進室 室長 籾井伸之氏と同部 再開発営業部 企画推進課 和田悠氏が、アトラス築地の概要とデザインについて説明した後、建物内のモデルルームとルーフトップテラスを紹介した。

約100人の関係者を見つけ土地の権利譲渡を実現

 同社は、アトラス築地の用地取得で、土地や建物の権利者が新築マンションの部屋を原価で得られ、分割処分をしやすくし相続対策も実現する都市共同化事業を採用した。

 今回の都市共同化事業では、38人の権利者から当該地の不動産と土地を譲り受け、物件の解体およびアトラス築地の建設を行い、権利者は、提供した建物と土地の評価に合わせて、アトラス築地内の区画あるいは現金を取得。なお、地権者38人のうち27人が、慣れ親しんだ居住地で住み続けたいという思いから、都市共同化事業で、アトラス築地の専有部を入手した。

旭化成不動産レジデンス 開発営業本部 営業推進室 室長 籾井伸之氏

 旭化成不動産の籾井氏は、「開発地は、江戸時代から続く町割りや長屋建築の影響を受けた間口の小さな住宅と路地裏の小道が築地特有の風情を醸し出していたが、老朽家屋が密集し、災害時に倒壊や延焼火災の危険性があった。さらに、多数の細い道路があり、狭小の敷地が多く工事車両が進入できず、当該地を保有する権利者は希望する大きさの建物を建てられなかった。そして、個々の敷地で単独の建て替えは困難なため、街の再生は課題だった」と話す。

「アトラス築地」建設前の開発地の小道

 続けて、「解決策となったアトラス築地の開発に当たって、当社は、当該地で不動産を保有する権利者と別のエリアに住む関係者が共同で所有する私道の“廃道同意書”を取得しなければいけなかった。そのため、私道を保有する相続人の特定と権利譲渡が求められたが、別のエリアに住む所有者の中に、過去の売買時に所有権移転登記をし忘れた人が多く、対象者の発見は難しかった。しかしながら、私道所有者を含む約100人の関係者を見つけ、権利譲渡を実現した」と補足した。

 アトラス築地の開発スケジュールは、2016年3月に合意形成活動を開始し、2018年6月には、東京都中央区が区内に向けた「マンション容積緩和制度」を2019年7月に中止することを発表したことに伴い、マンション容積緩和制度を利用した設計を変更しないために、2019年7月までの着工を目指し、合意形成を一層進めた。2018年11月には、全地権者との土地売買契約やテナントの立ち退(の)き、地権者退去を完了し、2019年6月にアトラス築地の建設工事に着手した。

 「当該地で営業していたテナントには、地元の不動産会社や地域住民の協力を得て、近接するエリアの代替え物件を提示し、移転をサポートした。また、マンション容積緩和制度の中止を受けて、計画を前倒した結果、当該地にある1区画がマンション開発に参画してもらうことを断念している」(籾井氏)。

「アトラス築地」の構造図
「アトラス築地」の外観
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