LiDARセンサーは、主に顔認証で顔の形状を立体的に認識して、顔認証の精度を高めるのに利用されていますが、“AR”にも活用されています。通常のカメラよりも正確に周囲の3次元情報を把握できるので、仮想空間内での物体配置が精度高くできるのです。
ARは建設現場での利用が増えてきており、地下埋設物を表示して掘削領域を確認したり、建物の完成図をAR上で表示して施主と確認したりするなどの用途で使われています。ちなみにLiDARセンサーは、iOSを搭載しているiPhoneだけでなく、Android OSのスマホにも搭載されているモデルが増えていますので、そのうち当たり前のカメラセンサーになるかもしれません。
これもiPhoneの話になってしまいますが、最新のiPhoneには、「UWB(Ultra Wide Band)」という無線通信規格に対応したチップが取り付けられています。UWBは高精度な測位・測距に適しており、UWBが搭載されるまではスマホの電波を利用したBluetoothやWi-Fiを利用することがほとんどでした。しかし、BluetoothやWi-Fiでは、それほど精度が出ないため、エリア内でおおよその情報しか取得できません。それに対し、UWBを用いた場合は、10センチレベルの測距が可能なため、細かい動きまで捉えることができるのです。
iPhoneを提供しているAppleは、UWBの技術を利用した「AirTag」というタグを2021年4月に発売しており、AirTagを取り付けた持ち物をiPhoneを使ってピンポイントに発見でき、紛失防止や探索に大きな威力を発揮します。そのため、今後は建設現場での備品管理にも応用できるのではと期待されているのです。
その他に、スマホには「加速度センサー」「ジャイロセンサー」「磁気センサー」などが搭載されています。これらはスマホの細かい動きを検出できるため、スマートフォンを持っている作業者の状態を常に把握して管理することが可能になります。例えば、加速度センサーを利用して、落下や転倒を検知して、即時対応を行うなどの現場の安全管理面での応用が考えられます。
今後、さまざまなセンサーのさらなる小型化や高精度化が進み、スマートフォンへの搭載がなされるでしょう。高速・低遅延・大容量通信が実現する“5G”の普及も進むことで、スマホのさらなる現場活用が期待されます。
次回は、土木分野で重要な測量・計測作業を支える「位置検出技術」に関する知識を織り交ぜながら、現場で働くセンサーを取り上げていきます。それでは、次回またお会いしましょう。
AI:空港保安検査にAI技術、日立が南紀白浜エアポートで実証実験
AI:日立、画像認識AIで特定の危険行動を自動検知するソリューション
現場管理:IoT機器のセンサーで情報取得、作業員の安全管理を支援するサービス
導入事例:清水建設が全社統一のサーバ型RPAを導入、間接業務を15%自動化
Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE:設備修繕の働き方改革を支援する日立のクラウドサービス
電子ブックレット(BUILT):1年間で40億円の工事をマッチング「解体業を革新する建設テック」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10