空港保安検査にAI技術、日立が南紀白浜エアポートで実証実験AI

日立製作所と南紀白浜エアポートは、南紀白浜空港での保安検査を支援するAI技術の実用化に向けた実証実験の実施に関する覚書を締結。空港の保安検査のさらなる高度化・効率化に取り組む。

» 2021年09月29日 08時00分 公開
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 日立製作所と南紀白浜エアポートは、南紀白浜空港において、保安検査を支援するAI技術の実用化に向けた実証実験の実施に関する覚書を締結した。AIの活用により、空港の保安検査のさらなる業務の高度化・効率化に取り組む。

 今回の実証では、既存のX線装置の操作はそのままで、検査員による目視にAIによる二重の確認を加えることで、保安検査員のストレス軽減と手荷物検査の安全性の向上を目指して、運用性および導入効果を検証する。

 システムの中核には、日立ソリューションズの「X線検査判定支援ソフトウェア」を用いる。AIがX線の画像を分析して危険物を自動で検知し、その物品名と赤枠の表示によって注意を促す。物品が重なっていても見分けられるという。AIは、日々更新される新たな危険物の情報や熟練検査員のノウハウを学習して進化し、高いセキュリティレベルと業務効率の向上を図るとしている。

X線検査判定支援システムのイメージ図 X線検査判定支援システムのイメージ図 出典:日立製作所

 実験期間は、2021年8月27日から2022年3月末日とし、延長する場合もある。

 南紀白浜エアポートが、南紀白浜空港の運営、関係機関および空港事業者との各種調整、空港保安業務全般に関する助言などを行い、日立製作所が、実証実験の作業の取り纏め、実験に必要な機器の準備と設置、X線検査判定支援ソフトウェアのチューニングを担当する。

 従来、保安検査の1つである手荷物検査は、検査装置内で手荷物にX線を照射し、保安検査員がその画像から「目視」で危険物を検知してきた。危険物の見逃しが許されないなど、保安検査員にかかるストレスの軽減が課題だった。また労働人口が減少する中、人財育成は容易ではなく、経験の浅い検査員は検知に時間を要するという課題もあった。

 空港の保安検査は、航空機の乗客乗員の安全のために不可欠な業務であり、航空需要の増加が見込まれる中、乗客の利便性と保安検査の確実性を両立するための検査能力および効率性の向上が求められてきた。

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