奥村組は、設計仕様のデータに基づき、建物の音響を再現する「音環境プレゼンテーションシステム」を開発した。今後は、新システムの機動力を生かして、事業主や設計者との打ち合わせなどに活用する。
奥村組は2021年9月15日、設計仕様のデータに基づき、その設計で完成する建物の音を再現し試聴することができる「音環境プレゼンテーションシステム」を開発したことを発表した。
建物の設計段階では、自動車の走行などで生じる音や空調設備に起因する室内騒音といったさまざまな音に対する遮音性能の他、室内で発生する音の響き方など、音の環境について検討を行う。しかし、設計された音の環境は、音の大きさをデシベル(dB)と表示し、遮音性能をD値やL値といった数値で表すため、一般消費者には完成する建物内で生じる音をイメージしにくいという問題があった。
解決策として奥村組は音環境プレゼンテーションシステムを開発した。音環境プレゼンテーションシステムで使用する機器は、マイク機能が内蔵されたモバイル端末や試聴用ヘッドフォンのみで、可搬性に優れる。さらに、さまざまな音の予測計算をクラウド上で行うため、利用する端末のスペックに左右されずに、高い処理速度で多様な音を再現する。
再現可能な音は、外部騒音に起因する室内騒音(交通騒音など外部騒音の聞こえ方)や室間遮音(隣接する居室で発生する騒音の聞こえ方)、建物内外からの敷地境界への騒音伝搬、空調設備に起因する室内騒音、床の衝撃音、室内の残響時間(室内で生じる音の響き方)の6種類。
また、インターネットにつながる場所であれば、さまざまな音の再現に応じるため、打ち合わせ中に設計仕様の変更があった場合でも、すぐにその音を作成して確かめられる。加えて、マイク機能が内蔵されたモバイル端末で、対象の音を録音し、その音を作れる。
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