ザイマックス不動産総合研究所は、不動産に関するさまざまなアンケート調査を定期的に行っている。研究所では調査結果をもとに、コロナ禍で企業がどのような施策を行っているか、どのような潜在的需要があるのか、また、ポストコロナ時代に向けた企業のワークプレースの在り方と多様化するオフィス活用戦略についても分析している。
日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、「ファシリティマネジメント フォーラム 2021(第15回日本ファシリティマネジメント大会、ライブ配信:2021年2月17〜19日/オンデマンド配信:2021年2月22〜3月1日)」を開催した。
会期中の講演のうち、ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員 石崎真弓氏が登壇した「POSTコロナに向けたワークプレイスのありかた」を採り上げる。セッションでは、ザイマックス不動産総合研究所が実施したアンケート調査の結果をベースに、オフィスで取り組んでいるコロナ対策に対する課題、afterコロナに向けた事業所の運営方法といったことを説明した。
ザイマックス不動産総合研究所は、全国主要都市の企業を対象に、「出社とテレワークのバランス」について2020年10月に調べ、その結果を「大都市圏オフィス需要調査2020秋」にまとめ、同年12月に発表した。大都市圏オフィス需要調査2020秋によれば、出社率を抑えていた対象企業のうち、出社率を100%に戻した企業は全体の約20%に上る。
石崎氏は、「2019年6月に緊急事態宣言が解除された後、徐々に出社率を増やしている傾向も見られるが、対象企業のうち全体の80%は解除後も出社制限をしている。テレワークを継続する意向を表明している企業も、全体の約70%となっている」と状況を示した。
テレワークは、新型コロナウイルス感染症への対策となり得るが、人事制度の変更、ペーパーレス化、フレックスタイム制度の整備を伴うため、対象企業のうち40〜60%の企業はこういった取り組みにも着手していることも分かった。「コロナ禍がきっかけとなって、(人事制度の変更、ペーパーレス化、フレックスタイム制度の整備に)取り組む企業の数は増えている」(石崎氏)。
対象企業のICT投資に関しては、ネットワークの環境整備やモバイルPC、タブレットなどの端末を支給する企業が増加し、2019年と比較して在宅勤務制度を導入した企業が2020年秋は倍以上となった。
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