本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、内閣府の「国民経済計算」を基礎資料に、建設業の労働生産性について考察している。
今回のレポートでは、内閣府の「国民経済計算」のデータを使って、建設業の労働生産性について分析する。労働生産性とは、従業員が一定時間あたりに産出する付加価値額であり、生産年齢人口の減少、働き方改革の推進といった労働環境の変化の中で企業が成長を続けるための重要な経営テーマとなる。
主要産業分野について2019年の労働生産性※をみると、「建設業」は3008円と、全産業平均の4799円、「製造業」の5703円を大きく下回っている(図表1)。最も労働生産性が高いのは、「金融・保険業」の7798円、次いで情報通信業の7787円で、最も低いのは「宿泊・飲食サービス業」の2555円となっている。建設業の労働生産性は、宿泊・飲食サービス業に次いで低く、労働生産性の向上は大きな課題であると考えられる。
※労働生産性=実質国内総生産額/(就業者数×1人当たり年間総労働時間)で算出
建設業と製造業の労働生産性の推移をみると、製造業は2002年の3952円から上昇傾向が続き、2008年には5114円にまで労働生産性は向上している(図表2)。
2009年には、リーマンショックの影響もあり一時低下するが、その後は再び上昇傾向が続き、2019年には5703円に上昇している。一方、建設業は2002年の2760円から、低下・横ばいが続き、2008年には2320円に労働生産性は低下した。2013年以降は上昇に転じ、2017年には3049円に上昇したが、製造業との差は2002年の1192円から2019年には2695円に拡大している。
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