千代田化工建設、Cognite、三菱商事の3社は2021年5月27日、産業設備やプラント向けデジタルプラットフォームソリューション「Mirai Fusion」の提供及び協業を目的とする覚書を締結し、国内の製油所向けに実証実験を行うことで合意した。
千代田化工建設と、2016年にノルウェーで設立されたグローバル展開する産業用SaaS企業の日本法人Cognite(コグナイト)、三菱商事は2021年5月27日、プラント向けデジタルプラットフォームソリューション「Mirai Fusion」の提供と協業を目的とする覚書を交わし、国内の製油所向けに実証実験を行うこと明らかにした。今後は、本案件を皮切りに当該ソリューションの提供を国内外の製油所、LNG、石油化学プラント、他産業設備にも拡大していく。
プラントの運営に際して、設備の経年劣化に対する修繕コストの低減、熟練者の運転・管理ノウハウの見える化、既存の各システムの縦割り構造によって連携されていないデータの統合利用など、効率性向上とサステナブルな運営・技術継承が課題となっている。
Mirai Fusionでは、Cogniteが提供する世界で初めて石油ガスプラントに実装された、分断した各種データの統合・紐(ひも)付け管理(コンテキスト化)を可能にするデータ統合ソフトウェア「Cognite Data Fusion」を活用する。Cognite Data Fusionを千代田化工のプラントエンジニアリング知見を生かしながら、個別のニーズに応じた形で導入し、この上に千代田化工独自のAI技術で開発した稼働状況の可視化・故障の予知などを実現する産業用アプリ、三菱商事のグローバルネットワークを通じ集めた最先端のサードパーティー製アプリも採り入れ、メンテナンスの効率化や生産効率向上といったプラントのDXを実現する。
Mirai Fusionで用いている技術は、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコやノルウェーを拠点とする石油会社・Aker BPといったオイルメジャーで既に実績があり、生産量の最大化、メンテナンスの効率化などをもたらしているという。とくにAker BPでは、同技術を使ったデータ活用で、2022年までにオペレーションコストを15〜18%削減することを目標とたプロジェクトが進行している。
Mirai Fusionの特長としては、全体戦略・課題発掘などのコンサルティングから、既存システムの統合・連携、顧客ごとにカスタマイズしたアプリ開発までを一気通貫で支援する。アプリは、実装例がある既存の「スタンダードアプリ」、顧客の課題解決に特化してゼロベースで開発する「カスタムアプリ」、他事業パートナーが開発し、運用実績のある「サードパーティーアプリ」を組み合わせた最適な提案を行い、アプリの特定から、開発、提供、ソフトウェア導入までは最短8週間で実行できるとしている。
Cogniteは、国内外のプラントにMirai Fusionの導入を進めることで、顧客の競争力拡大や企業価値向上につなげるとともに、運転効率化や設備管理高度化のアプリ活用でプラント操業を最適化し、脱炭素社会への貢献も果たしていく。
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