キヤノンのCAD向け大判プリンタに、図面の大量印刷に応える新ラインアップ「TZシリーズ」CAD(1/2 ページ)

キヤノンの独自調査によると、ここ最近は、CAD図面のカラー化需要の高まりや建築・土木・製造など個々の現場での出力ニーズの増加に伴い、大判プリンタによるCAD図面の出力需要は堅調に推移している。また、業務効率の改善や即時性などの理由で、これまでは外注していた大判サイズの印刷物を内製化するニーズも追い風となり、A1以上のサイズに対応した大判プリンタの2020年市場規模は、国内で約2万2000台に上るという。

» 2021年05月06日 14時00分 公開
[石原忍BUILT]

 キヤノンは、大判プリンタブランド「imagePROGRAF(イメージプログラフ)」で、5色顔料インクを搭載したCAD/GIS向け新製品を2021年5月中旬より順次発売する。ニューモデルは、プリント/スキャナー/コピーのMFP(マルチファンクションプリンタ)でA0ノビ対応の新シリーズ「TZ-30000 MFP」を筆頭に、従来のTXシリーズを刷新したB0ノビ対応「TX-4100/TX-4100 MFP」とA0ノビ対応「TX-3100/TX-3100 MFP」、A1ノビ対応「TX-2100/TX-2100 MFP」の全7機種。

建設・製造の「プロダクションCAD市場」に向けた新製品

 キヤノンでは、建築設計事務所や製造業など、図面を大量出力する環境で、ここ数年は高速プリントや快適な操作性、高画質への要望が増加傾向にあるとみている。そのため、こうしたニーズを受けて、より高い生産性が必要とされる市場を「プロダクションCAD市場」と位置付け、新たな製品ラインとして「TZシリーズ」を市場に展開。同時に、CAD市場・ポスター市場向けの「TXシリーズ」にTX-4100などの6機種も拡充した。

 TZシリーズ第1弾となるTZ-30000 MFPは、本体前面で操作が全て完結し、省スペース設置も考慮に入れたコンパクト設計の新デザイン。機能面では、プリントスピードはimagePROGRAFシリーズ最速となる1分間に4枚の高速プリントを実現。多くのLEDを光源に用いた大判サイズプリンタで課題となっているスリープ状態からのウォームアップ時間も大幅に短縮し、A1横サイズの普通紙図面を最速約19秒でプリントする。

「TZ-30000 MFP」 提供:キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン

 新機能では、出力図面を最大100枚まで積載し、本体上面から自然な姿勢で取り出せる「上部排紙トレイ」や2段のロールの片方で印刷中でもロール紙を交換できる業界初を謳(うた)う「ストップレスロール紙交換システム」などを備え、印刷に要する作業負荷やダウンタイムを抑え、カラーやモノクロの図面を大量かつ速く、効率的に出力することができる。

立ったままで印刷物を取り出せる「上部排紙トレイ」 提供:キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン
「TZ-30000 MFP」に搭載された「ストップレスロール紙交換システム」の概要 提供:キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン

 プリント/スキャナー/コピーのMFP(マルチファンクションプリンタ)で肝となるスキャナーは、新開発の英Global Scanning製を装着。最速で毎秒13インチ(330.2ミリ)をスキャンし、印刷とスキャンの同時並行処理にも応じ、印刷完了を待つことなく、原稿をスキャン。

 また、操作面では、ジョブ送信ツール「Direct Print Plus」に対応。PDFやJPEG、TIFFなど種類の異なる複数ファイルを一括で印刷指示して、ページ数の多い複数ファイルでもプレビュー画面を素早く表示。ファイル読み込み中にも印刷設定することで、待ち時間の解消につながり、印刷実行後の進捗状況やエラー/警告内容などをプリンタから離れた場所のPC上からでも確認することができる。

 製品サポートでは、インターネット経由で稼働状況やインク残量をモニタリングする法人向けオンラインサポートサービス「NETEYE(ネットアイ)」が無償で用意されている。トラブル発生時の迅速な復旧サポートにより、プリンタの停止期間を最小限に留め、インクが無くなる前に通知が届くため、発注漏れも防止する。

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