このような方針の下で、実際にプロジェクトを手掛けた実行組織について解説する。この際は、情報管理マネジメント・設計・維持管理を大和ハウス工業が、施工をフジタが担当した。連携では、もの作りにつながる「作るための連携」と、建物運用につながる「使うための連携」に主眼を置いた。
情報マネジメントチームは、共通データ環境(CDE)と見なすBIM 360の仕組みの構築、管理、運用などを担う。基本的にBIMによる作業は全て、ここで行われるので、プロジェクト全体の管理を受け持つともいえる。共通データ環境の利用が慣れていない段階では、こういった全体を見渡す役割が存在しなければ、理想的なBIM活用は難しい。
プロジェクトでは私が統括BIMマネジャーを務め、全体で50人以上のメンバーを率いて、プロジェクトを完遂した。あくまでもバーチャルプロジェクトであったが、BIMモデルや図面は、約半年の期間で、全て1から作成した。
これだけの人数が、テレワーク環境の中で、業務を進めるために毎週TV会議による定例ミーティングを開いた。定例ミーティングは合計24回にも及んだが、これ以外にも必要に応じて各チーム単位で随時、TV会議の場を設けた。TV会議のツールは、Microsoft Teamsを用いた。
連携事業は、最終的に2021年3月初旬に報告書の提出締め切りだったため、2020年7月にスタートさせ、同年12月には完了するというスケジュールを立てた。設計作業自体は通常と同じ作業になるので、期間を短縮することができず、施工期間を1カ月に短縮した工程表を策定した。工事部門を担当していただいたフジタは、1日が10日分の換算という驚異的な日程で、毎日のように施工イベントがあり、とても苦労されたかと思うが、予定通り作業を終わらせてもらった。
当初は実物件で応募するというアイデアもあったが、どう考えても間に合わないし、新しい取り組みなのに、過去のデータを使って考察するということも、意味がないというと結論に至り、できるだけ実践的な案件を仮想で行うこととした。
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