2020年の建設技術者を取り巻く“雇用環境”を振り返る、ヒューマンタッチ総研建設業の人材動向レポート(28)(1/2 ページ)

本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、2020年の建設技術者の雇用環境について、2020年の動向を総括している。

» 2021年01月04日 10時00分 公開

 2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大が日常生活、社会、そして経済にも大きな衝撃を与えた激動の年であり、これまで厳しい人手不足が続いてきた建設技術者の雇用環境にも大きな変化が見られた。今回は、建設技術者を取り巻く2020年の雇用環境の変化を各種データで振り返る。

■2月以降、9カ月間連続で建設技術者の有効求人倍率は前年同月を下回る

 建設技術者(建築・土木・測量技術者)の有効求人倍率は、2020年2月以降、9カ月連続で前年同月を下回っており、建設技術者の需給は徐々に緩和されてきている(図表1)。2020年1月の有効求人倍率は6.86倍で、前年同月を僅(わず)かに上回っていたが、2月には前年同月を0.13ポイント下回って6.65倍となり、その後、新型コロナウイルス感染症が一気に拡大して、4月7日に政府から緊急事態宣言が発出されたこともあり、有効求人倍率は低下傾向が続き、9月には前年同月を1.19ポイント下回る5.70倍になった。

 しかし、10月の時点でも建設技術者の有効求人倍率は5.86倍と、専門的・技術的職業の中では最も高い有効求人倍率を示し、まだまだ人手不足の状況は続いているといえる(図表2)。

【図表1 建設技術者の有効求人倍率の対前年比較】 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」よりヒューマンタッチ総研が作成
【図表2 2020年10月における専門的・技術的職業の有効求人倍率】 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」よりヒューマンタッチ総研が作成

■10カ月連続で有効求人数は前年同月を下回る

 有効求人数と有効求職者数の対前年増減率の推移をみると、企業の求人意欲を表す有効求人数は全ての月で前年同月を下回った。5月には対前年増減率は▲11.9%となっており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、建設技術者への求人意欲が低下していることが分かる(図表3)。ただし、その後、対前年増減率は徐々に上昇してきており、求人数は増加傾向にある。

 また、有効求職者数については、飲食業やサービス業などでの不況の影響を受け、その反動として建設業に求職者が集まったためか、6月以降は前年同月を上回り増加傾向が続いている。

【図表3 建設技術者の有効求人数と有効求職者数の対前年同月増減率】 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」よりヒューマンタッチ総研が作成
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