安藤ハザマと日本基礎技術は、山岳トンネルでのボーリング作業の際に、膨張性地山などでは、無水での削孔が有効とされていることを考慮し、スクリューオーガを用いた無水削孔ボーリング技術を開発した。両社は既に、試験施工で新ボーリング技術の効果を確かめており、今後、供用中の高速道路トンネル内の盤ぶくれ対策を中心に適用することを目指す。
安藤ハザマと日本基礎技術は、山岳トンネルでのボーリング作業で幅広い地質性状に対応するため、スクリューオーガを用いた無水削孔ボーリング技術を開発したことを2020年10月9日に公表した。
新ボーリング技術は、供用中の高速道路更新工事などへの適用を視野に入れ、削孔機には、厳しい条件下で、機動力を発揮するソイルメック製「超小型削孔機SM-6」を採用する。SM-6は、打設角度の可動域が広く、複数の姿勢でボーリング作業が可能で、汎用機械と比べて約2倍の削孔能力を備えている。
削孔設備のエアーコンプレッサーと粉じん対策の機器は、新ボーリング技術で使用する車の上に配置しているため、設置と撤去が容易で、一般車両の通行にも影響せず、供用中の道路などでの施工にも適している。
新ボーリング技術のメリットは、エアーを用いた無水削孔が可能で、ボーリングロッドにスクリューを取り付けたスクリューオーガで削孔土砂を強制的に排土できる点。スクリューオーガにより、新ボーリング技術は、粘着性が高く地下水の少ない泥岩などの地盤に対しては、エアーのみを用いた削孔方法に比べ、排土効率が約20%アップし、削孔速度が約5%向上している。
また、単管もしくは2重管による削孔方法で使え、孔壁(こうへき)の保持が困難な脆弱な地山にも対応しており、エアーが周辺地盤に作用する地山でも、スクリューオーガだけで削孔作業が進められる。
安藤ハザマは、新ボーリング技術の効果を確認するため、実際のトンネル内で試験施工を行った。試験に用いたトンネルは、脆弱な凝灰角礫岩(れきがん)が分布する湧水の多い地盤で、超小型削孔機を使用して、ボーリング長9メートルを2重管により無水で削孔した。施工過程では、超小型削孔機の作業性やスクリューオーガの有無による削孔効率への影響、粉じん対策の有効性を確かめた。
今後、両社は、供用中の高速道路トンネル内の盤ぶくれ対策を中心に、新ボーリング技術の適用を目指す。
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