Japan Drone2021−Expo for Commercial UAS Market −

50キロの荷物を積んでもドローンを1時間飛ばせるエンジンJapan Drone2020(2/3 ページ)

» 2020年11月05日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

CMGに2Hz以上の振動を減衰する効果

 早稲田大学の大内氏は、「昨今、急速に活用が広がっているドローンだが、突風などの悪天候では飛行が困難で、現状、使用条件が限定されている。プロペラのピッチと回転を制御することで、悪天候時でも機体をコントロールできるが、飛行を行うためのプロペラをフライトの安定性に使うと墜落の要因になる。解決策として、私はCMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)を用いたドローン制御技術の研究を進めている」と語った。

 CMGは、慣性の法則とプリセッションの法則を用いた制御技術で、宇宙ステーションやバイクの自立走行、船の揺れ止めなどの姿勢制御に活用されている。

実験で使用した姿勢制御用システムのイメージ図と早稲田大学 理工学術院総合研究所 客員教授 大内茂人氏(右下)

 大内氏は、「ドローンの姿勢制御に対するCMGの有効性を検証するために、DJI製ドローン“Matrice 100”を用いて実験を行った。実験を進めるにあたって、Matrice 100に姿勢制御用のシステムを搭載した。システムは、ドローンを浮遊させるプロペラ系や機体のピッチング系とローリング系の機器、姿勢制御用のジャイロトルクを発生させるCMGとCMGのモーター、アクチュエーター、姿勢角を制御するコントローラーで構成される。CMGは、装着されたフライホールを2万RPMの回転速度で回すことで、ピッチ角の姿勢をコントロールした」と説明した。

インパクト外乱実験の結果

 加えて、「実験では、システムを備えたMatrice 100と通常のMatrice 100に突風を想定した約40ニュートンのインパクト外乱を与えた。結果、システム有りのMatrice 100が無しのものと比べて、ピッチング角の変動が少ないことが判明した。また、システム付きのMatrice 100に加振装置を取り付け、振動外乱実験を実施したことで、2Hz(ヘルツ)以上の振動を減衰する効果があることも分かった。今後はCMGの小型化や2台のCMGによるドローンの姿勢制御を検証する他、配管内でCMGを用いたドローンの姿勢制御を実験する」とCMGの有効性や今後の展望ついて明かした。

振動外乱実験の結果

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