改正法で急変する解体業界、施主とつなぐ「くらそうね」に“賠償保険”など無償の保証サービス解体市場のトレンド予測も解説(1/3 ページ)

解体工事の一括見積もりWebサービスを運営するクラッソーネは、会社倒産や事故発生など、万が一の際、金銭的リスクの回避や工事停滞などの不安を解消する保証サービスを無償オプションで追加した。

» 2020年10月06日 06時09分 公開
[石原忍BUILT]

 施主と解体工事会社をつなぐマッチングサービス「くらそうね」を運営しているクラッソーネは、解体工事に関わる金銭などのトラブルを保証する新サービス「くらそうね安心保証パック」の提供を2020年9月29日から開始した。

 同日にはオンラインで、直近でアスベスト関連の法改正も公布され、急変している解体市場の分析も含めた事業戦略発表会を開催した。

「くらそうね」は施主と解体工事会社のミスマッチを解消

クラッソーネ 代表取締役 CEO 川口哲平氏

 発表会で代表取締役 CEOの川口哲平氏は、2018年から移り住んでいるという「屋久島」からリモートで参加し、最初にクラッソーネの会社概要を紹介。川口氏自身は京都大学 農学部卒業後、セキスイハイムを経て、2011年4月に「豊かな暮らしで人々を笑顔に」のミッションを掲げてクラッソーネを創業した。

 2019年にはベンチャーキャピタルから出資を受け、資本金を1億5298万円までに増資。現在は東京、名古屋、屋久島に拠点を置き、社員数は56人になるまで業容の拡大を続けている。

 クラッソーネが提供する「くらそうね」は、当初から解体業界でのミスマッチを解消することを目的に開発。ビルや戸建て住宅などの解体工事を発注する施主にとっては、解体費用の相場観をそもそも持ち合わせておらず、どの解体専業の会社が良いのかを選ぶ基準も明確に無いため、ミスマッチから来るトラブルが度々起きていた。一方で解体工事会社の多くは、ハウスメーカーやゼネコンの下請け・孫請けなのが現状で、自社で会社を新規顧客を獲得するためのPR手法も持っていなかった。

 そこで双方をつなぎ、施主にとって工事費のコストダウンと、工事会社にとっての売上アップ及び受注量の標準化を実現させるべく誕生したのが、施主向け「くらそうね」と解体工事会社の「くらそうねbiz」で、2020年4月には全国展開するに至った。

「くらそうね」のサービス画面
「くらそうね」のサービス画面

 くらそうねの両サービスは、2020年9月時点で全国1202社の解体工事会社と1万5165人の施主が登録するまでに業界内に普及している。Webサービスのため、最短1分で最大10社のおすすめ工事会社を表示し、一括で見積もりを依頼できる。

 他には無い特徴として、工事会社の登録時には、反社会勢力や事故違反歴、建設業許可や解体工事業登録、保険会社や信用調査会社の与信などの独自審査を設けていることに加え、施主が閲覧する会社情報にも、「対応マナー」「追加費用」「工事品質」「工期順守」「近隣配慮」の5項目から成る定量的な評価や口コミを掲載。トラブルにつながりそうな会社を排除しつつ、条件に合った評判の良い会社を労せずして選べるというわけだ。

 また、くらそうねは、施主が工事会社と見積もり依頼から契約までを直接やりとりするため、仲介で間に何社も入るようなことが常態化している業界特有の多重下請け構造からの脱却をも目指している。

 なお、利用料は施主は無料で、工事会社は初期費用と月額利用料は無料だが、成約手数料として工事金額の10%のみが掛かる仕組み。

独自審査と総合評価も含む口コミで、良質な施工会社を可視化
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