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» 2020年09月25日 11時00分 公開

アズビルが解き明かす「BAS」解体新書!(4):【BAS徹底解剖】BAS/BEMSの「環境への貢献」 (1/3)

建物には、空調、照明、監視カメラなど、さまざまな設備機器が導入されている。それらを効果的に運用するシステムとして、ビルディングオートメーションシステム(Building Automation System、BAS)が存在する。本連載では、制御・計測機器メーカーで各種ビル設備サービスを展開するアズビルが、「建物の頭脳」ともいえるBASやシステムを活用したエネルギー管理システム「BEMS」を紹介し、今後の可能性についても解説する。第4回は、BEMSデータを活用した設備更新や建物の省エネ化などを採り上げる。

[関根勉(アズビル ビルシステムカンパニー エネルギーマネジメント部),BUILT]

 本連載では、第1回でBASを中心にBEMSも含めたビルシステムの全体像について、第2回でBEMSのクラウド化について、第3回でBASが建物利用者に提供する安心・安全、利便性について紹介しました。

 第4回の本稿では、BAS/BEMSの「環境への貢献」をテーマに、BEMSデータを活用したエネルギーマネジメントについて説明します。また、COVID-19対応が気に掛かる御時世となりましたので、新たなワークスタイルに適応した建物運用ついても話題に加えることに致します。

出典:アズビル

ビルの省エネルギー

 BASやBEMSが貢献する環境改善とは、CO2排出量削減(つまりビル付帯設備における消費エネルギー削減)であり、見える化による意識改革、設備更新による効率化、さらに設備運用の改善が省エネルギーの構成要素と言われています。

 見える化ではBEMS(ベムス)、設備更新ではESCO(エスコ)、運用改善ではEMSv(エネマネサービス)が象徴的なキーワードに掲げられますが、BASで収集されBEMS機能で管理されるエネルギー使用状況の関連データ(BEMSデータ)は、対策行動の初動となる意識改革はもちろんのこと、設備更新や運用改善の実施フェーズにおいても幅広く活用されます。

省エネルギー対策について 出典:資源エネルギー庁(2015年4月 総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会 第7回会合 資料1)

設備更新(ESCO)におけるBEMSデータ活用

 設備更新におけるBEMSデータの活用場面は「対策前の削減効果試算」と「対策後の削減効果検証」であり、費用の掛かる投資型省エネ対策には費用対効果の検討が重要となります。

 効果試算では情報量の差により算出精度が大きく異なるため、蓄積されたBEMSデータは投資型対策の検討・立案に大変役立ちます。

 対象設備のBEMSデータが乏しい場合は、大まかな運転時間からエネルギー使用量を推測し、期待する削減率を掛け合わせて目安とする程度が限界ですが、BEMSデータが充実している場合は、さまざまな実績データから高精度の削減効果を試算することができます。

 用いるBEMSデータには「エネルギー使用量」だけではなく、「エネルギーを消費する設備の作動情報」や「エネルギー消費を評価するための条件情報」も含まれているため、運用改善を伴う稼働想定や気象条件による性能特性など、より実態に即したデータ分析が行えます。

BEMSデータの内容

 効果検証では、「ベースライン使用量に比べ、対策後の使用量実績がどれだけ減ったか」を評価します。ベースラインとは単純な対策前の同じ期間の消費量実績値ではなく、BaU(Business as Usual)の考え方で、「対策を行わずにそのまま使い続けた場合の消費量推計値」とすることが基本となります。

 オフィシャルな排出量取引では、国際/国内の制度において、削減量を算出する方法論が対策内容ごとに整備されていますし、ESCOのような効果保証型のパフォーマンス契約スキームでは、契約時点で効果検証方法に関する明確な合意を得ておかなければなりません。

効果検証方法の例 出典:アズビル

 また、設備更新に欠かせない検討要素としてダウンサイジングに着目することが有効です。新築時とは異なり更新時には過去の情報が蓄積されていますので、今までのBEMSデータを精査し、実運用に合致した無駄の少ない設備容量を検討すべきです。

ビルシステム総力特集:

“Society 5.0”時代のスマートビル―ビルシステムにおけるサイバーセキュリティの現在地

 経済産業省が主催する「産業サイバーセキュリティ研究会」のビルサブワーキンググループが、「ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン第1版」を2019年6月に公開した。

 なぜ今、ビルシステムのセキュリティが重要とされるのか?ビルシステムを取り巻く最新製品・サービスや市場トレンドなどから、現状の課題を浮き彫りにし、次のSociety 5.0時代にあるべきスマートビルの姿を探る。

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