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» 2020年09月07日 07時00分 公開

産業動向:多能工を育成可能な「清水匠技塾」が開業、研修中の給与は清水建設が負担

建設業界では、入職者数の減少や技能労働者の高齢化で人手不足が進行しており、問題となっている。解決策として、清水建設は、次世代の担い手確保と育成を行い、建設業の魅力を学生などに伝える教育・訓練施設「清水匠技塾」を解説し、2020年7月27日から運営をスタートした。

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 清水建設は、千葉県船橋市内に建設技能労働者を対象とした教育・訓練施設「清水匠技塾」を新設し、協力会社の兼喜会と共同で、2020年7月27日から運営を開始した。

年間の施設利用者は950人を想定

 今回、清水建設が清水匠技塾を設立した背景には、建設技能労働者の高齢化が進む中、工事現場の生産体制を維持していくためには、新規入職者の確保とともに、適応と定着を促す継続的な教育と訓練が必要だったことがある。

「清水匠技塾」の外観(左)と内観(右) 出典:清水建設

 清水匠技塾の受講者は、主に兼喜会の会員企業から募り、新規入職者の研修をはじめ、スキル養成や多能工養成、生産性向上ツール操作の訓練など、職歴・技能レベルに応じた教育・訓練カリキュラムを提供。年間の施設利用者は950人を想定している。

 建物は、作業訓練棟と教室棟の2棟から成り、延べ床面積は1010平方メートル。作業訓練棟では、720平方メートルの空間に研修用の各種機材を配置し、教育・訓練カリキュラムに合わせた実技訓練を行っている。

 また、建設ロボットなど現場の生産性向上をアシストする各種機械を使いこなせるオペレーターの育成と、生産性向上ツールの改良検討の場としても活用。教室棟の大会議室と中会議室では、新規入職者や資格取得者向けの特別教育を実施している。

 カリキュラムの柱となるのは、多能工養成訓練で、巻付け耐火被覆材やOAフロア、ボード、ALC、床仕上げ、シート、クロスなどの内装工種を中心に教育している。

 多能工養成のカリキュラムでは、建設工程のさまざまな業務を学べるため、1人で複数の異なる作業をこなす技能者が育てられる。多能工が増えることで、繁忙工種の労働力補填だけでなく、技能者自身にも就労機会の増加による賃金増などのメリットが期待される。また、高齢化した技能者にとっては、作業負荷の低い工種の業務を勉強することで、体力の低下を補え、就労期間を延ばせる。

 利用対象者は、現役の技能労働者だけでなく、建設業を志す高校生やその保護者、教職員を想定している。将来の担い手候補に施設の見学や体験学習の場を提供することで、建設業の魅力や人材育成に積極的な姿勢をPRし、新規入職者の増加につなげていく。

 清水匠技塾での入職者の確保と育成は、清水建設グループが展開するサプライチェーンの強化と拡充に直結するため、受講者の研修中に発生する給与や協力会社が派遣する講師への報酬は清水建設が負担している。今後、清水建設と兼喜会は、清水匠技塾を拠点にシミズグループの建設事業を担う人材の育成を進めていく。

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