オートデスクは、大林組、清水建設、大成建設などの協力を得て、BIMソフトウェア「Autodesk Revit 2019」向け構造用ファミリの提供を2018年12月4日から開始した。提供するファミリは、鉄骨の構造を生産、施工するために必要な設計データの種類について、ゼネコンと鉄骨ファブリケータなど、異なる会社間でも円滑に利用できるように標準化を行ったもの。
大林組、清水建設、大成建設の3社は、Revit構造用の鉄骨ファミリの仕様を共通化させ、オートデスクに提供。これらのファミリ部材を2018年12月4日から、オートデスクはWeb上で公開。同日には、東京・晴海のオートデスク本社で記者説明会を開催した。
会見では、3社を代表して大成建設 設計本部 構造計画部・大越潤氏が登壇。大林組、清水建設、大成建設が行ったRevit構造ファミリの共通化を解説した。
ファミリ共通化は、2016年に活動をスタートさせた大手ゼネコン数社から成る「BIM Summit」内で組織された「構造分科会」によって進められた。共通化を行った背景には、各社が独自のBIMを構築し、自前のファミリを整備してきたことで、ゼネコンによってファミリの仕様が異なり、鉄骨ファブリケータはこれに個別で対応しなければならない問題があった。
そこで分科会では、毎月定例会を開催し、3社の構造設計で使うファミリを持ち寄って、共通仕様とすべきパラメータを洗い出し、パラメータ名称を統一。以前は、RC柱で言えばA社では幅×高さ、B社ではB×Dと、同じ意味でありながら名称が異なったため、鉄骨ファブリケータへのデータ受け渡しの際にマッピングが必要となり、情報連携や流通性を阻害していた。
共通化により、Revitと鉄骨専用CADとの連携が可能になることで、鉄骨ファブリケータが設計情報をそのまま生産工程に利用することが実現する。複数の組織間や業務プロセスを跨いだ生産性向上につながる。
今回、共通化された鉄骨ファミリ数は、形状・継手数などが異なる柱や梁(はり)でそれぞれ数種類のファミリが用意され、まずは標準的な鉄骨を対象に20種類ほどとなっている。
ファミリの読み込みは、ファミリ名と同じ名前のテキストファイルを作成し、カタログをタイプとして登録。ファミリロード時にはカタログ一覧が表示され、選択した部材をタイプとしてロードすることができる。
構造分科会では3社の共通化をベースに、将来的には他社も含めた鉄骨ファミリの“国内標準化”を目指す。そのために、RUG(Revit User Group)のテンプレートや一気通貫が可能になるRevitファミリライブラリへの適用も行う。その先には、躯体図の作成が求められる鉄筋コンクリート(RC)の国内標準化を進めていくという。
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