清水建設の設計・施工により、名古屋市千種区に中京圏初となる木質ハイブリッド構造の中層マンションが完工した。外観から斬新な構造形式を認識でき、居住空間は自然のぬくもり、優しさを実感できる木質空間とした。
清水建設の設計・施工により、2020年7月、名古屋市千種区に中京圏初となる木造と鉄筋コンクリート造を組合せた木質ハイブリッド構造の中層マンションが完工した。斬新な構造形式を外観から認識でき、居住空間は自然のぬくもり、優しさを実感できる木質空間とした。
本建物は、建築面積850平方メートル、延床面積3214平方メートル、地下1階は駐車場、地上1〜4階は26戸の住宅で構成する。構造体や内外装の仕上材として約220立方メートルの木材を用い、完工後は同社社宅とし、一部住戸を木質ハイブリッド構造のショールームとする。
構造計画は、幅50.5メートル、奥行き17.0メートル、厚さ90センチメートルの1階床を免震構造の人工地盤とし、4階建ての建物を載せる。各住戸内に原則2体ずつ配置する、直交集成板(CLTパネル)製の耐震壁が建物の長辺方向に作用する地震力の最大60%程度を負担し、間仕切兼仕上材としても機能する。耐震壁と内装仕上材の木材により、居住空間にふさわしい木質空間とする。
建物長辺方向の外周の梁56体と柱28体、間柱56体には、同社の国土交通大臣認定取得の木質耐火部材「スリム耐火ウッド」を初採用した。異種材料を組合せて燃え止まり層の耐火性能を高め、層を薄くすることでコストを低減、さらに室内の有効空間や開口面積を広げる。柱・梁の接合は、自由な木質空間を創出可能な、同社の木質ハイブリッド構造技術「シミズ ハイウッド」とし、耐震性、耐火性、居住性を確保した。
今後、「公共建築物等木材利用促進法」の推進などを背景に、構造体にも木材の採用が見込まれる。同社は、スリム耐火ウッド、シミズ ハイウッドを中大規模建築に採用し、付加価値の高い木質構造の実現を目指す。
本事業は、2018年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されており、木造建築物等に係る技術の進展や普及啓発に役立てられる予定だ。
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