ゼネコン向けに音声に特化したソフトウェアを開発しているアドバンスト・メディアは、音声とAIで、検査業務に伴う書類作成の負担を軽減するクラウド型サービス「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」に、協力会社への指示や帳票作成をWebアプリで一元化する新機能を追加した。
アドバンスト・メディアは、音声入力に対応した建築工程管理のプラットフォームサービス「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」に、仕上げ検査の手直し指示をクラウド連携させた新機能「指摘共有」を追加し、2020年8月1日にリリースした。
AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォームは、音声認識を活用したiPhoneなどスマートデバイス用の建築工程管理サービス。クラウド型のストレージサービスを主体に置き、配筋検査、配筋写真管理、仕上げ検査の3つの検査に対応したラインアップをそろえる。
今回、新機能として搭載された指摘共有は、仕上げ検査の中でも、手直し指示を対象とし、施工協力会社とクラウド上で指示内容を共有することで、手直しの依頼から完了承認までが非対面で完了する。
リリース日前日の2020年7月31日にオンラインで開催された報道関係者向けウェビナーでは、アドバンスト・メディア 常務取締役 ビジネス開発センター センター長 立松克己氏が「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォームで実現する検査のニューノーマル」と題して、指摘共有(ダメ帳連携)のサービス展開の意図と機能を紹介した。
立松氏は、現在の建設業界を取り巻く状況について、「1997年のピーク時に695万人いた就業者は、2017年には498万人と29%も減少した。年齢層は、55歳以上が34%を占める一方で、若年層の29歳以下は11%にとどまっている。労働時間をみると、2016年のデータでは年間2056時間にも及び、他産業に比べても突出して長時間労働が常態化している」と問題点を指摘した。
さらに、ここ最近では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、「建設業界も例外ではなく、感染症予防や3密回避といった対策を迫られている。しかし建設業では、オンラインでの業務はなかなか馴染まない。1社でマンションやビルを建てることは無いため、現場には下請け会社など多くの作業員が出入りして、対面での打ち合わせなどを日々行っている。そうは言っても、このところスーパーゼネコンでも、新型コロナウイルスの感染者が確認されているため、現場での予防は急務となっている。そこで、今回の機能強化は、仕上げ工事の検査を対象に、さらなる業務効率化、コスト削減、新型コロナウイルス対策のアプローチで開発することとなった」と話す。
ベースとなるAmiVoice スーパーインスペクションプラットフォームは、現場の検査結果を声だけで入力して、ストレージに保管。事務所では、これまでの仕分け作業や写真の照合は、AIが代替するため不要となり、検査結果(帳票)をストレージから出力するだけで完了する。これまでに音声入力の使い勝手が評価され、既に150社を超える建設会社に導入されており、各種検査の業務効率化とコスト削減に貢献しているという。
だが、現状のサービスにも課題は残っており、立松氏は、「帳票の情報共有がネックで、クラウドからダウンロードする際、データ量によっては数十分も要していた。帳票データを印刷する場合でも、仮に100戸のマンションで協力会社20社とすると、自主検査、社内検査、設計監理、施主検査などで数万枚もの帳票をプリントしなくてはならず、大量の紙が無駄になっていた」とする。
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