国土交通省は、高速道路の更新計画や維持管理方法などを議論する場として、社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会を定期的に開催している。2020年8月21日に開いた第41回の部会では、国土交通省の担当者がITを活用した路面管理の手法を紹介し、また宮城県知事の村井嘉浩氏が、新型コロナウイルスが県内の交通量に与えた影響などに触れ、料金所での接触を減らすETC設備の増設や観光業を支援する道路ネットワークの強化を国に求めた。
国土交通省は2020年8月21日、都内で、社会資本整備審議会 道路分科会 第41回国土幹線道路部会を開いた。会合では、ITを活用した道路行政をテーマに、国土斡旋(あっせん)道路の現状や路面の管理を効率化する新技術を紹介し、宮城県知事の村井嘉浩氏は、県内における新型コロナウイルス感染症の影響や高速道路に対して、未整備エリアの開発や料金所のETC専用化を要望した。
国土交通省の担当者は国土斡旋道路について報告。国土斡旋道路は、全国的な自動車交通網や主要都市、空港、港湾などを効率的に連結する道路で、高速自動車国道、直轄国道、一部の地方自治体管理道路から成る。国内の全道路に占める割合は小さいが、物流用途で大型車が使用する機会が多い。
国土斡旋道路の維持管理では通常、巡回を中心に行い、清掃や植物の剪定(せんてい)は、対象物の状態に合わせて優先順位を付けて実施している。
直轄国道の場合、出張所のスタッフや道路維持工事の受注業者が、パトロール車を用いた巡回や近隣住民からの電話とメールによる意見収集、監視カメラを使用したモニタリングで道の状況を把握する。橋梁(きょうりょう)とトンネルは、国が定める統一的な基準に基づき、5年に1度、近接目視で全数点検を行っている。
国土交通省の調べによれば、国土斡旋道路での異常や障害の年間での発生・処理件数は、直轄国道で約70〜80万件、高速道路で約40万件。路面異状・障害に関する管理瑕疵(かび)件数は、直轄国道で約200件、高速道路で約150件。管理瑕疵は、道路が通常有するべき安全性を欠いていることで損害が生じた件数を指す。
路面冠水は、毎時50ミリを超える豪雨の発生件数が30年前と比較して現在1.4倍に増加していることに伴い、頻度が増えており、年度によって変動があるものの、直轄国道では年平均で259件も起きていることになる。
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