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» 2020年08月14日 07時15分 公開

A-Styleフォーラム 2020:withコロナに“地方工務店”はどう向き合ったか?旧態とITのハイブリッド式で乗り切れ (1/3)

コロナ禍は、漠然と考えられていたIT化を一気に進める契機となり得る。茨城県下妻市に本社を置き、木材店から出発し、良質な木の家づくりにこだわる柴木材店は、対面での活動が制限されるなか、ITを使って業務をどうこなし、業績を確保したのかを講演で説いた。

[川本鉄馬,BUILT]

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 柴木材店は、材木店からスタートした地域の根差した工務店。2020年で創業54年を迎え、現在は茨城県下妻市に拠点を置き、自社設計の木造注文住宅を展開している。

 2020年6月16日に開催した福井コンピュータアーキテクト主催のオンラインセミナー「A-Styleフォーラム 2020〜新型コロナウイルスで露呈した工務店のリスク対策」では、柴木材店の3代目社長 柴修一郎氏がwith/afterコロナ時代における工務店のあるべき姿を提案した。

会議や接客をZoomへ移行、特化した部屋で打ち合わせに集中

柴木材店 代表取締役社長 柴修一郎氏

 今回のコロナ禍に際し、本社のある茨城県では“緊急事態宣言”の特定警戒地域に指定された。そうしたなか、柴木材店では、公共の交通機関をあまり使わず、マイカー通勤が日常という地域性もあり、辛うじて社員が出社して業務を続けられたという。

 しかし、新型コロナの影響は予想以上に大きかったようだ。講演では、「集客・営業・接客」「日々の業務」「経営の現状」に分けて、新型コロナ感染症に対して取った対策を紹介した。

 コロナ禍による影響で特徴的なのは、人と人が接する活動が大きく制限されること。柴木材店でも、対面での打ち合わせやプロモーションが無くなり、ネットワークを利用したデジタル接客へ移行した。柴氏は、「この移行はそんなに大きなハードルなく移行できた」と話す。

 茨城県下妻市は、東京への通勤圏にギリギリ入るため、以前から東京の顧客とやりとりする機会が多く、県外の遠方にいる施主に対して、コロナ禍の前にも必要に応じてWebを介した打ち合わせを行っていたという。その時は、Appleのビデオ通話ソフトウェアアプリケーション「FaceTime」を使用していたが、コロナ禍を機に「Zoom」を導入。今では、見込み客の他にも、協力業者や不動産会社など、社内外での打ち合わせに活用している。

 Zoomを営業活動や打ち合わせに活用するにあたり、柴木材店では書庫をリニューアルしてZoom専用部屋を整備した。「周囲を気にせず、集中して打ち合わせができる環境を作るべきだ」という考えからだ。

書庫を改装したZoom部屋

 部屋には、ミーティング時に余計なものが映らないよう、背景は無地の壁となっている。また、顧客との通信用と作業用にそれぞれモニターを用意したデュアルモニター構成を採用した。この他にも、Zoomで快適な会議ができるように、スピーカーやiPadなど必要な機器や装備が用意されている。

 Zoomを使った接客では、説明に使う住宅模型を事前に動画撮影しておくことで、打ち合わせ時に滑らかな再生ができるよう工夫している。その後、ジンバルに装着したカメラで、各部を映しながら詳細にリアルタイムで解説する。

 柴木材店では、コロナ騒動以前にも「ファーストプレゼン」を重視し、模型を使った接客を行っていた。施主が模型に触れてもらって実物件をイメージしてもらう方法だが、良好な反応が得られたという。ちなみに、このときの模型は、後日宅配便でプレゼントのように客先へと届ける。

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