安藤ハザマは、茨城県つくば市の技術研究所をZEB実証の場とする目的で、温排熱の冷房利用などの省エネ技術を多数採用したNearly ZEB化の改修を行った。同社では、2020年4月から次世代エネルギープロジェクトの実証試験を開始しており、今回のZEB化は、このうち「省エネルギーシステムによるエネルギー需要の計画運用マネジメント」の一環として計画した。
安藤ハザマは、ZEBに関する要素技術で省エネルギー性や快適性を実証することを目的に、同社の技術研究所一部エリアを改修し、2020年7月から運用を開始した。
安藤ハザマのZEBに関連する取り組みは、2019年5月にZEB推進室を立ち上げて以降、要素技術の開発や実案件での「ZEB Ready」認証取得を進め、同年10月には一つの成果としてZEBプランナーに登録された。今回、ZEBに関する先進技術について実証するため、技術研究所の本館棟内一部エリアをZEB化すべく改築した。
茨城県つくば市にある技術研究所は、開設から28年が経過。改修工事は、一般執務や管理業務の拠点となっている本館棟3階の一区画(約400平方メートル)を実証の場へとリニューアルした。運用を通じて、省エネ基準比で75%の省エネルギーとなるNearly ZEBの達成を目指している。
主な省エネ設備としては、次世代型の省CO2コージェネレーションプラントで発生する温排熱は、冬季の暖房、通年でのデシカント空調による調湿に利用。デシカント空調は、空気中水分を吸着材で吸着して除湿を行う空調方式。除湿後の吸着材は、加熱乾燥して再び除湿に再利用でき、加熱再生の工程でも温排熱を活用することにより、1次エネルギー削減につながる。
夏季には、65度程度の温水を利用して冷水を製造する「吸着式冷凍機」を冷房熱源とすることで、1年を通じて空調用1次エネルギー消費量を大幅に削減できると見込んでいる。
また、室内には、放射冷暖房、床吹き出し空調、床染出し空調、ビルマルチエアコンといった省エネ技術を導入し、ZEB技術のための最適なシステムについて検証する。その他、外断熱、窓の2重化、明るさ感に基づく照明、ブラインドの自動制御システム、IoTプラットフォームによる統合管理システムなども設置し、将来に向けた新技術を検証する空間と位置付けている。
さらに、現在社会的な課題とされている新型コロナウイルス対応として、換気性能に関する実証や対策技術の試験適用に加え、リモートワークを含めた働き方に関する検討なども並行して行っていく。
安藤ハザマでは1年間の運用実証を通じて、エネルギー消費量を計測し、Nearly ZEBの達成状況を確認する。各要素技術についても検証し、快適性・省エネ性に関するノウハウを蓄積して、今後の設計提案に盛り込んでいくとしている。
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