また、各種構造計算ソフトで作成した解析モデルをRevitの3次元モデルに変換するためのアドオンも、Autodesk App Storeにはラインアップされている。buildingSMART Japanが開発した標準フォーマット「ST Bridge Link」をはじめ、ユニオンシステムの「Super Build/SS3」とCSVファイルを介して変換する「SS3 Link」、構造システムの「BUS-6」とネイティブに連動する「BUS-6+Revit Op.」、NTTファシリティーズ総合研究所の「SEIN La CREA」とRevitをつなぐ「SEIN ST CNV」などだ。
なお、前述した3分野統合サンプルモデルには、2次元の各図面も同梱されているため、それぞれのアドオンで開いて、図面化する際の参考として役立つ。
Revitによる構造設計ワークフローで、BIMモデルから伏図、軸組図、リストを出力した次の工程の詳細図については、BIMガイドラインでは、必ずしも3次元である必要が無いとしており、Revit上で配筋や接合部の機能、ファストクルーの鉄骨専用CAD/CAM「FAST Hybrid」、カルテックの鉄骨用BIMソフト「すけるTON」を用いて2Dの詳細図を作成することを推奨している。
林氏は、今後の構造BIMについて、「構造設計者は、解析モデルの作成には慣れているため、解析モデルからBIMモデルを変換して作ることが多いが、意匠設計者もBIMモデル化すれば、意匠BIMからダイレクトに構造BIMを作成して解析モデルをアウトプットするワークフローへと変わるはず。さらに設備も含めて、後々は3者がBIMでヨコに連携するようになるだろう。意匠・構造・設備がデータ連携するための一つのツールとして、今回発表する構造ファミリの整備を各社で進めている」とした。
構造ファミリの共通化に関しては、大成建設 設計本部 設計品質技術部 シニア・エンジニア 大越潤氏が解説を加えた。
共通化の取り組みは、Revitでの設計施工の効率化を目標に、大手ゼネコン数社(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設他)が2016年に発足した「BIM Summit」の構造分科会で検討が進められている。
背景には、10年近くにわたり各社がファミリを独自にルール化している弊害により、運用方法がバラバラで、鉄骨製作会社や設備の専門会社など協力会社の負担となっており、加えてリソースが分散しているため、Revitのアップデートに対応できなくなっていたことなどがあった。
そこで、構造設計で受け渡すべき情報を見直し、定義または標準化することで、会社間を超えた3次元モデルの流動性を高め、将来的な電子確認申請の利用、鉄筋のモデル化への利用をも可能にすることとした。
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