特定地域の地盤や建物が地震でどれだけ揺れるか調査可能な新サービス製品動向(2/3 ページ)

» 2020年07月17日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

地盤で生じる地震波の増幅特性を知れる「S波速度構造」のデータを取得

 常時微動探査法は、地盤で生じる地震波の増幅特性が分かる「S波速度構造」のデータを取得する調査方法。

「常時微動探査法」に使用する高性能振動計

 手順は、特定のエリアに高性能振動計を複数台配置するアレイ方式で、交通や工事、波と川の流れなどで発生する微弱な地盤の揺れを測定し、地盤の増幅特性の他、地盤構造が振動する固有周期や地盤の柔らかさ、硬さも明らかにする。

 アレイ方式は、深さ30〜200メートルの地下構造を見える化し、高性能振動計を設置するエリアが広いほど、より深い地盤のS波構造を導き出す。観測が簡単で、作業者によって結果に差が出にくい。非破壊の手法のため、場所を選ばず使え、所要時間は1箇所あたり15分程度で済む。

極表層部からのS波速度構造を可視化するハイブリッド微動探査

 応用地震計測の梶原氏は、常時微動探査法と高周波起振機を利用した計測を組み合わせたハイブリッド微動探査について解説した。

ハイブリッド微動探査のイメージ

 ハイブリッド微動探査は、常時微動探査法で得られたデータに加え、高周波起振機を利用した計測で、微動観測では捉えにくい極表層部からのS波速度構造と住宅建築時の地耐力が推定でき、地層にれき層があっても、軟弱地盤の深さを測れる。

 「従来のスウェーデン式サウンディング(SWS)試験機で獲得可能なデータと地盤のゆれやすさなどの情報を集められる。SWS試験機よりも、機材が軽量で、持ち運びやすく、調査時間も短い」(梶原氏)。

ハイブリッド探査(左)とSWS試験(右)の機材比較
ハイブリッド探査(左)とSWS試験(右)の性能の比較

 計測方法は、常時微動探査法と同じく、特定のエリアに高性能振動計を複数台設置するアレイ方式で、高性能振動計1つの延長線上に、起振機を置き、微動計測と起振機で加振測定を行う。

ハイブリッド探査の計測法

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