iPadの配布から始まったあすなろ建築工房のIT化は、今回の新型コロナウイルス感染症の対策として進められたものではない。データをクラウド上に保存するなどの施策が、コロナ禍でも、結果的に工務店の業務を継続可能にした。
新型コロナウイルス対策がクローズアップされる現在、あすなろ建築工房では、在宅で勤務する社員はもちろん、顧客との打ち合わせにもZoomを使っている。最近では、家を建てようとする顧客向けに、必要に応じて日射や温熱などの状態を示すソフトも使用している。
Zoomでは、共有している画面に書き込めるため、設計の打ち合わせでは図面や現場の写真などを画面に表示し、そこに参加者が注釈を入れられる。施主との打ち合わせでも模型を使って同様の打ち合わせで、効率の良い打ち合わせにつながるという。
工務店にとって、自社が作った物件を見込み客に披露する「現地見学会」は重要なプロモーションの機会となる。しかし、コロナ禍ではそれもままならない。そこで、2020年4月末にZoomを使ったWeb見学会を開催した。
あすなろ建築工房では、関尾氏の自宅がモデルルームを兼ねている。そこで、関尾氏がジンバルを装着したiPhoneを持ち、家の中を説明しながら案内した。この見学会は、結果的に同業者を含む80人近くが視聴し成功裡に終わった。
このWeb見学会は、施主に引き渡した住宅でも行われており、その場合はZoomではなくInstagramのライブ機能が使われる。「Zoomの見学会は、画面がカクカクになってしまう。うまく画像が送れないこともあった」(関尾氏)。
この点、インスタライブはスムーズな映像を送信。撮影や案内は施主にお願いする形だが、実際に住んでいる人が生で説明するということで、視聴者からの評判はおおむね好評だった。
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