日本製鉄のチタンが“増上寺”の屋根瓦に採用、過去最大の施工規模新建材

日本製鉄が世界初のチタンブランドとする「TranTixxii(トランティクシー)」が、増上寺大殿の屋根に採用されることが明らかになった。チタン製の屋根瓦としては、過去最大の工事規模になるという。

» 2020年06月11日 06時00分 公開
[BUILT]

 日本製鉄の意匠性チタン「TranTixxii(トランティクシー)」が東京都港区芝公園の増上寺が計画している改修工事で、大殿の屋根瓦に採用が決まった。

 大殿には、チタン瓦を約6万枚分(重さ約18トン)を使用し、施工面積にして4235平方メートルとなり、これまでのチタン製屋根瓦の採用実績としては過去最大の規模となる。改修事業の工期は、2020年10月に着工し、2021年11月に完工する予定。

瓦志納限定の記念御朱印(左)、増上寺大殿外観(右) 出典:日本製鉄

 浄土宗大本山増上寺では、2024年に浄土宗開宗850年の節目を迎えるにあたり、慶讃事業を推めている。「1393年の開創以来の歴史と伝統を盤石な形で将来につなぎたい」という意向があり、その改修事業の一環として、約50年ぶりに大殿の屋根瓦を葺(ふ)き替えることとなった。

 現在の大殿は、1945年の空襲で一度全焼し、1974年に復建しており、約500トンの土瓦が葺かれている。今回、鉄の約60%の重さとされるチタンに置き換えることで、従来の約10分の1に軽量化が図れると同時に、耐震性も高められる。

 TranTixxiiは、製鉄事業で培った日本製鉄の独自技術とパートナー企業との連携により開発。ロールの凹凸を転写するロールダルやマット調のブラスト、薄い酸化皮膜の厚みを変えることで色を付ける発色仕上げなど、多様な製造方法で、無塗装ながら100種類以上の色調バリエーションを実現した。これまでに、東京都台東区の浅草寺本堂をはじめ、福岡県の九州国立博物館、京都府の北野天満宮などの屋根にも採用され、建築分野での導入は600件を超えるという。

 日本製鉄では、常温で安定した酸化皮膜を形成する錆に強い耐食性と高い意匠性の両立で、瓦の美しさをそのままに長寿命化が可能となり、「従来の格調高い屋根瓦の意匠を“時を超えて”、未来に引き継ぐ」としている。

 増上寺の大殿屋根瓦総葺き替え事業は、設計・施工を清水建設、屋根の施工は元旦ビューティ工業が担当する。

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