テレワークやサテライトオフィスの実態を解き明かした最新FM動向ファシリティマネジメント フォーラム 2020(2/3 ページ)

» 2020年05月11日 06時00分 公開
[川本鉄馬BUILT]

働き方改革関連法案施行でテレワークなどの導入が進む

 働き方の変化は、働き方改革関連法施行の影響が大きい。働き方改革に関しては、2019年に取り組みが活性化し、テレワークやネットワーク環境などの整備が進み、レンタルオフィスやシェアオフィス、サテライトオフィスなどの開設も進展した。2019年秋時点で、レンタルオフィスやシェアオフィス、サテライトオフィスを導入した企業は全体のうち10%台だが、対前年比で倍以上となっている。

テレワークの導入状況など

 石崎氏は、「各企業で、テレワークやサテライトオフィスなどの取り組みが進んでいるが、まだ十分ではない。企業が考える働き方改革の目的は、全体のうち、長時間労働の是正が60%、従業員の満足度向上が57%、生産性の向上が61%を占めている。だが、実際にワーカーが体感する効果を調査すると、全体のうち、長時間労働の是正が43%、従業員の満足度向上が26%、生産性向上が22%を占める結果になり、働き方改革の効果に疑問を感じるワーカーが少なくないことが分かる」と語った。

働き方改革の目的と効果の実感

 テレワークは、環境が整っている企業が全体のうち約80%を占めるが、実際にテレワークを利用しているワーカーは全体の半分弱となった。また、実態はモバイルワークで、レンタルオフィスやシェアオフィス、サテライトオフィスといった自分が普段働いている場所以外で、テレワークの選択肢が与えられている人はまだ全体のうち13%しかいない。

 「ワーカーは働く場所に対する関心度が高く、立地としては自宅近くのエリアで働きたいというニーズが高い。また、テレワークによって働く場所の選択肢が与えられていると生産性の向上を感じるが、生産性の面でメリットは認められず、マイナスの影響があり、長時間労働是正にテレワークは貢献しない可能性がある」(石崎氏)。

 加えて、「在宅勤務よりもフレキシブルオフィスを整備する方が、生産性向上に役立つ。フレキシブルオフィスとは、企業が自社所有や賃借しているオフィスとは別に、時間や期間単位、もしくは席単位で契約するワークスペースを総称するもの」とコメントした。

 ワーカーが快適に働ける環境とはのアジェンダでは、労働環境を構築する一つである通勤に言及し、首都圏の通勤に関するストレスにフォーカスを当てた調査結果を提示した。

 首都圏のオフィスに通うワーカーへの調査では、平均の通勤時間が49分となり、通勤時間50分未満と50分以上の人のストレス度合いを地図上にプロットすると、通勤時間50分未満の人は、ストレスが低く勤務地も郊外に分散した。逆に通勤時間が50分以上の人は、ストレスが高く、勤務地が都心に集中した。

首都圏の通勤に関するストレスにフォーカスを当てた調査結果

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