戸田建設は、トンネルのシールド工事をAI化で自動化する「AI Transformシールド」を開発した。今までは、専門技術者の判断に頼っていた掘進管理データをAIに置き換えることで、掘進管理を効率化させ品質の向上にもつなげる。
戸田建設は2020年3月31日、きんそく、ネットリンクスと3者で、シールド工を対象に、効率化・品質向上・安全性向上の強化を図るため、自動測量と組み合わせた掘進工をAI化した「AI Transformシールド」を開発したことを公表した。
AI Transformシールドは、土質の変化に対応してきた過去の掘進データから最適なシールド機管理値を導き出し、シールド機の姿勢を制御し掘進していくシステム。
これまでシールド機の掘進管理は、測量したシールド機の情報を読み込み、専用のプログラムで、その時の決められた条件で一定の解析結果を出力していた。掘削対象地山に対するシールド機の方向決定や切羽圧力、切削トルク、ジャッキ速度などの調整や判断は、熟練のシールド専門技術者の暗黙知に依存するところが大きかった。
さらに、シールド機械の進化とともに、掘進中の切羽圧力や切削トルク、ジャッキ速度、裏込め注入などの100項目を超えるデータが約30秒間隔で集積されるようになり、人の手で土質に合わせた掘進管理を行うことは現実的では無くなっている。
AI Transformシールドは、土質ごとに蓄積された膨大な測量データや機械データを教師データとし、機械学習をしたAIが自動測量で得られるデータをベースに、最適な判断を導き出し、シールド機の姿勢を判断して自動運転を行う。AIを用いることで、掘削対象の想定地質断面をAIが判断して、その時の距離、測量データ、機械データなどを教師データとするだけでなく、過去の豊富な施工事例も教師データに活用するため、より精度の高い最適な結果を選択することが可能になる。
AIによる判断方法は、掘進とともにデータ集積を続け、掘削対象断面が過去の事例と同じ断面と判定されたとき、過去データを検索し、シールド機が順調に掘進していた際の切羽圧力、切削トルク、対応するジャッキ速度などを反映する。施工中や施工後のシールド現場データも取得するため、一元管理で膨大な教師データとすれば、さらにAIをさらに進化させられる。
戸田建設では、全国のシールド現場のデータを専用クラウドに集約することを視野に入れている。また、環境負荷低減のための最適掘削土量、裏込注入なども自動で行えるように実用化を目指すとしている。
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