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» 2019年12月09日 11時00分 公開

山岳トンネル工事:余掘り量を3D表示、大林組のシールド自動化システム

大林組は、総合的なシールド自動化システム「大林インテリジェントシールド(OGENTS)」の早期実現を目指す一環として、シールド3次元線形管理システムを開発した。

[BUILT]

 大林組は、3次元モデルを活用することで、シールド機やセグメントリングの方向修正計画を的確に立案するシールド3次元線形管理システムを開発した。

 今回開発したシールド3次元線形管理システムは、「OGENTS」の要素技術であるシールド自動運転「OGENTS/DRIVE(オージェンツ/ドライブ)」を構成する基本システムとなる。

方向修正計画の立案時間を30%短縮

 一般的にシールド工法を用いたトンネル工事は、シールド機内の後方部で組み立てられたセグメントリングを反力にし、シールド機で地山を掘削しながらシールドジャッキを伸ばして進めている。

 作業終了後には、シールド機とセグメントリングの位置やトンネル設計中心線からのずれを測量により確認し、その結果をもとに、計画したシールド機とセグメントリングの方向修正をオペレーターに指示することで、シールドトンネルの線形を適正に管理している。

シールド工法を用いたトンネル工事の概要 出典:大林組

 しかし、シールド機の方向を修正するには、シールド機を修正したい方向に大きく掘削して隙間を作ることが必要で、セグメントリングの方向を修正するには、シールド機とセグメントリングとの間にも適切な隙間(クリアランス)が不可欠となる。そのため、シールドトンネルの線形を適正に管理するには方向修正計画の立案が非常に重要になるが、従来の2次元による線形管理では、1リングごとに断面を抽出し、 余掘りやクリアランスが適正であることを確認する手間が生じていた。

 また、部分的な点データに基づいた修正計画のため、実際の掘削では余掘りやクリアランスが不足し、シールド機やセグメントリングに無理な力がかかってしまう問題点があった。

 新システムでは、3次元モデル化したシールド機とセグメントリングから、これらの数値を自動で算出して表示する。従来、立体的に把握できなかった余掘り量やクリアランスを一目瞭然に確認できることに加え、算出作業も省略できることから、方向修正計画の立案に要する時間を30%短縮する。

余掘り量の表示 出典:大林組
クリアランスの表示 出典:大林組

 シールド機やセグメントリングの方向修正計画の妥当性をチェックするアシスト機能を備えたことで、経験の少ない技術者でも余掘りやクリアランスを適正に確保した方向修正計画を立案可能になった。

 さらに、適正な線形管理により、余掘りされていない方向へのシールド機の方向修正やシールド機とセグメントリングとの接触を防止。シールド機やセグメントリングに無理な力をかけることなく掘削できるため、施工中や竣工後の漏水やひび割れ発生のリスクも低減する。

 今後、大林組はシステムをシールド自動測量「OGENTS/SURVEY(オージェンツ/サーベイ)」と連携させ、測量結果をもとにした修正計画の立案、指示、シールド機の運転操作までの一連の作業を自動化したシステム「シールド自動運転(OGENTS/DRIVE)」の開発を進めていく。

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