NIPPOと前田道路は、話し合いがしやすい環境づくりや技術者交流、工場の効率化などを目的に、資本業務提携の協議をスタートさせた。両社の協業により、道路舗装業界に巨大勢力が誕生することが見込まれる。
道路舗装最大手のNIPPOは2020年2月27日、前田道路と資本業務提携の協議を開始することを公表した。アスファルト合材工場の共同運営やノウハウの共有で人手不足を解決するなどの相乗効果を期待するとともに、互いに約5%の株式を持ち合う方向で検討する。
2020年2月27日に都内で開催された記者発表会では、2020年3月19 日付けで、株式公開買い付け(TOB)により、前田道路を連結子会社化した前田建設工業との関係性※1について、両社の代表から解説された。
NIPPO 代表取締役社長 吉川芳和氏は、「(前田道路との資本業務提携は)シナジー効果があり、協議を通じて両社の企業価値向上につながることが重要なのであって、本発表はTOBとは関係がない。今の段階では決めたことに沿って進めていくことが第1だ」と語った。
TOBが成立したら資本業務提携を辞める可能性があるかについては、「前田道路側の具合が悪くならない限り資本業務提携の協議を進めていく」と述べた。
一方、前田道路 代表取締役社長 今枝良三氏は、「TOBは受けているが、今回の資本業務提携とは関係ない。NIPPOと資本業務提携の協議を始め、企業価値をどのように高めていけるか考えていきたい」と話す。
さらに、「道路舗装業界を見渡し、業界の脆弱(ぜいじゃく)化や今後の見通しを踏まえ、業界の再編や合従連衡(がっしょうれんこう)を見据えた取り組みを5〜6年前から実行していた。当初は公正取引委員会が運用する独禁法の観点から業界1位と2位であるNIPPOと前田道路の協議に問題があるのではと懸念していた。だが、多様なハードルはあると思うが協議を重ねていけば両社でより大きなシナジー効果を生み出せると考え、今回の発表に至った。協議開始を明らかにしたのは、(裏でやるのではなく)オープンに推進しようという表明だ」と説明した。
業務提携することで発生する効果については、「(業務提携には)さまざまな選択肢があるが、最初に選ぶのは政策保有だ。(政策保有の)シナジーには、互いに100棟上有している工場などの効率化が存在する。飛躍すれば統廃合も見込め、こういった施策を通じて経営効率が大きく伸長すると想定可能だ。加えて、人的交流という観点では、前田道路は小規模工事や民間工事を得意とする反面、NIPPOは空港や高速道路などで多くの実績を持っており、両社が提携することで技術者交流という意味で大きなメリットがある」と説いた。
※1 前田建設工業と同社の完全子会社である前田総合インフラは、3月13日付けで前田道路の株式に対する公開買付けを終了し、結果として、2020 年3月 19 日(この公開買付けの決済の開始日)付けで、前田道路が同社の連結子会社となった。
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