関電プラントは、シーエックスアールとともに、磁力で鋼製配管の内面に、吸着し上下左右問わず状態を確かめられる小口径管内点検ロボット「M2クローラー」を開発した。
関電プラントは、「第4回[次世代]火力発電EXPO」(会期:2020年2月26〜28日、東京ビッグサイト)に出展し、磁力吸着とベルト駆動による走行方式を採用した小口径管内点検ロボット「M2クローラー」を訴求した。
縦管に対応する従来の小口径点検ロボットは、配管内面を突っ張って姿勢を維持する機構が大半を占めていた。このため、適用する配管内部のスペースに対して行動範囲が狭くなっていた上、連続する曲管と配管径の変更部(レジューサなど)に適応することが困難だった。
また、管の分岐点(ベンドとドレンを含む)で脱輪し操作不能になる可能性があるとともに、動力喪失時に回収が困難だった。
こういった課題を乗り越えたのがM2クローラーだ。M2クローラーは、関電プラントとシーエックスアールが2019年に共同開発した製品で、機構が単純なため、簡単な制御と小型軽量化を実現している。磁性体の鋼管に限定されるが、取り付けられた磁石で配管内に吸着するため、底面や側面、天井面の走行に応じている。最小適用管径以上の管や構造物にも使え、汎用性が高いのもメリットだ。
管内で動けなくなったり、故障した場合には、磁石の位置を調整し吸着力を弱め、有線機の特性を生かし、ケーブルを引っ張ることで、管外に引き出せる。
関電プラントの担当者は、「小型化や磁石を用いた吸着により、管内におけるロボットの走行範囲を拡大させ、開放箇所の削減や付帯する足場架設作業、残留する流体の漏えいリスクを低減し、配管内で調べられるエリアも広げられるという利点がある」と説明した。
続けて、「対象物が磁性体であれば、柱を垂直に走ることやタンクの外面や内面を自在に走行することも容易だ」とも語った。
M2クローラーは、前方にカメラと照明を搭載しており、後方にもカメラを備え、各カメラで画像や動画の撮影、録画に応じる。システムはM2クローラー本体や制御装置、制御装置と本体を接続するケーブルドラム、コントローラーで構成されている。制御装置とモニターをケーブルでつなぐことで、リアルタイムにモニタリングすることも簡単だ。
現在、関電プラントとシーエックスアールは、M2クローラーの実証試験を進めており、今後、同機を活用したサービスなどを検討していく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.