揺れや温湿度をリアルタイム監視、エプソンとAnalog Devicesのセンサーを採用第24回「震災対策技術展」横浜(1/2 ページ)

ナレッジフォーサイトは、加速度と温湿度などを測るセンサーを活用して、地震が発生した時の揺れやインフラ構造物の振動をリアルタイムにモニタリングするサービスを展開している。

» 2020年02月10日 06時07分 公開
[石原忍BUILT]

 ナレッジフォーサイトは、第24回「震災対策技術展」横浜(会期:2020年2月6〜7日、パシフィコ横浜)で、地震や暴風雨のリアルタイム監視をWeb上で可能にするモニタリングシステムを出展した。

加速度/温度/湿度/気圧をリアルタイムに表示

ナレッジフォーサイトの第24回「震災対策技術展」横浜でのブース

 2004年8月に設立したナレッジフォーサイトは、原子力規制庁(NSR)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)など国の研究機関をはじめ、大手建設コンサルタント会社から委託を受け、地震観測の大規模モニタリングシステムや地震カタログ、アメダスのデータベースなどを開発してきた。

 近年は、進化の著しいMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によって開発された小型センサーを用い、「SMMS(Simple Multi-Monitoring Service)」と称するIoTサービスに力を入れている。SMMSは、センサーやロガーの制御、最適データ伝送、クラウド、GISなど、全ての技術を一気通貫で構築してきた経験を生かし、さまざまな場所に安価なシステムを設置し、環境情報をモニタリングして、蓄積したビッグデータの解析までをトータルで提供する。

 用途ごとに機器構成が異なるSMMSシリーズの中でも、展示ブースでは、震災対策や土木分野向けに「ゆれMON-2」「い-MON」「KanTen-2」を訴求した。

 ゆれMON-2は、高感度かつ高耐久の米Analog Devices製「ADXL355」を使用する“Special”と、セイコーエプソン製の水晶振動子センサー「M-A352」を採用した“HYPER”の2タイプを主要なラインアップとしている。

Analog Devices製「ADXL355」の“Special”(左)と、セイコーエプソン製「M-A352」の“HYPER”(右)

 センサーが取得するデータは、振動(加速度)と環境情報(温度・湿度・気圧)で、両者の違いはセンサー感度とノイズ感度の性能。Specialは産業用に対し、HYPERは微振動や定周期振動も観測するため、より専門的な研究用途としての利用も想定されている。

 ゆれMON-2の仕組みは、加速度センサーを現地に設置し、ケーブルまたはBluetoothで、スマートフォンタイプのデータロガー「SmaTra」と接続。SmaTraは、エッジコンピューティング化されているため、計測データを3G/4G/5Gを介してクラウドへアップするのと同時に、5年間のデータを保存する。加速度は20〜50Hzでサンプリングし、常時90秒間分の加速度波形データをPCなどの画面に表示。環境情報は1分ごとに取得し、過去24時間のデータを10秒ごとに切り替えて映し出す。

「ゆれMON-2」のシステム構成。中央の白い箱がスマートフォンタイプのデータロガー

 ユーザーは、PC/スマートフォン/タブレットからクラウド上のデータをリアルタイムで閲覧することができ、データ出力や過去データの検索以外にも、あらかじめしきい値を設定しておけば、一定以上の数値に達すると警報の発報や自動でメールを飛ばせる。

 用途としては、管理する建物にセンサーを設置して、地震発生時にどの程度ビルが揺れたかを把握することや物流倉庫の壁などに取り付け、温湿度や揺れを計測して倉庫内の監視を行うことなどの活用例が見込まれる。

 基本価格は、ADXL355の場合はロガー含めて40万円(構成により変更)、M-A352はGPSアンテナも追加して75万円(全て税別)。

「ゆれMON-2」のモニター画面
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