日本経済がゼロ成長でも2030年には2.6万人が不足、建設技術者の需給ギャップを予測建設技術者の2030年未来予測(2/2 ページ)

» 2020年02月05日 06時00分 公開
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全てのシナリオで技術者不足は起こる

 3つのシナリオのうち、A.ベースライン成長シナリオでは、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」におけるベースラインケースで、経済成長すると想定して建設投資を予想し、需要と供給のギャップを弾き出した。その結果、2015年には4万9370人だった建設技術者の不足数は、2025年は5万7633人、2030年には6万304人にまで広がることが見込まれ、ベースラインの経済成長では建設技術者不足は今後も厳しくなるとしている(図表4)。

図表4 ベースライン成長シナリオにおける人材需給ギャップの試算 出典:ヒューマンタッチ総研

 B.成長実現シナリオでは、成長実現ケースで経済が推移する前提で、建設投資の将来予測を行った。2015年には4万9370人だった建設技術者の不足数は、2025年で7万1073人、2030年には9万4157人にまで深刻化する見通しで、日本経済が順調に成長すると、建設技術者が足りない状況はさらに悪化するとみている(図表5)。

図表5 成長実現シナリオにおける人材需給ギャップの試算 出典:ヒューマンタッチ総研

 また、C.ゼロ成長シナリオは2021年以降、経済成長率と消費者物価上昇率がともに、ゼロ成長で推移すると想定して建設投資の将来を見通した。2015年には4万9370人だった建設技術者の不足数は、2025年で4万6020人、2030年には2万6680人となる(図表6)。ゼロ成長シナリオであっても、不足数は若干減少するものの、人材が足りない状況は変わらない。

図表6 ゼロ成長 シナリオ における 人材 需給ギャップの試算 出典:ヒューマンタッチ総研

 ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「今回の未来予測では、建設技術者数は2026年までは増加傾向が続く一方、それ以上に建設技術者の需要が増して、人材不足は2030年まで続く試算結果となった。比較的低い経済成長を前提としたベースラインシナリオでも、2025年は5万7633人、2030年には6万305人に不足数が増大し、経済がゼロ成長であっても、2025年には4万6020人、2030年には2万6680人の建設技術者が不足するというデータをみると、今後も建設技術者の確保が重要な経営課題になると考える」。

 また、「このような人手不足が続くことを考慮すると、人材確保の努力と同時にICTやAIの活用、i-Constructionへの対応などを積極的に進め、生産性向上を図ることもますます重要になっていく」とコメントしている。

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