ヒューマンタッチ総研は、独自に市場を分析し、建設技術者の「2030年未来予測」をシミュレーションした。未来予測では、日本経済が順調に成長、低成長、ゼロ成長の3パターンで、建設技術者の将来需要数を算出。このうち日本経済が順調に成長した場合は、2030年に建設技術者の不足数が9万4157人にまで拡大することが判明した。
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2020年1月31日、建設技術者不足問題について独自に試算した建設技術者数の「2030年未来予測」を公表した。レポートでは、日本経済が順調に成長、低成長、ゼロ成長の3パターンについて、建設技術者の将来需要数を予測している。
未来予測をみると、3パターンのどれであっても、2025年/2030年のいずれも建設技術者は不足に陥ると結論付けている。経済が順調に成長したとしても、2030年には9万4157人の建設技術者が足りなくなる試算だ。
2019年度は、東京オリンピック・パラリンピックの建設需要もピークを迎え、建設投資は約56兆円(実質値)となり、対前年の伸び率2.6%と高水準が続いている(国土交通省「令和元年度建設投資見通し」)。拡大する建設投資を背景に、建設技術者の人材需要も高まり続け、新卒で建設技術者として就職する人は2018年には2万1000人に達し、対前年伸び率は5.9%に増加(文部科学省「学校基本調査」)。ハローワークにおける有効求人倍率も、2019年11月には7.34倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」)と高止まりしている。
このような建設技術者を取り巻く雇用環境を踏まえ、ヒューマンタッチ総研は、建設技術者の2030年までの需給動向について未来予測を行った。足元の潜在成長率並みの低成長率で推移した場合の【A.ベースライン成長シナリオ】、政策効果が発現し高成長を実現した場合の【B.成長実現シナリオ】、物価上昇率がゼロ前後で推移する【C.ゼロ成長シナリオ】の3つのシナリオに基づき、人材需給ギャップを試算した。
建設技術者数の将来シミュレーションでは、2015年の国勢調査での建設技術者数をベースにして、「新卒の建設技術職入職」と「他職種からの入職」を増加要因、「他職種への転職」と「定年による離職」を減少要因に設定して下記のような考え方で算出した(図表1)。
その結果、建設技術者数は2020年以降も緩やかな増加傾向が続き、2026年の約49万5000人を頂点に減少に転じ、2030年には約49万2000人になると計算した(図表2)。大学、高等専門学校、専門学校などからの新卒入職者が大幅に増え、新卒での建設技術職への入職者数が定年による離職者を上回ると想定している。
建設技術者の需給ギャップでは、3つのパターン(図表3)について建設技術者の将来需要数を予測して、建設技術者数の試算結果と合わせて需給のギャップを示した。
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