管理者不在の集合住宅で役立つ遠隔検針システム、漏水などの異常検知にも活用可能Sigfoxが変える建設現場の維持管理(3)(2/2 ページ)

» 2019年12月25日 10時00分 公開
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遠隔検針システム

 3つ目は「遠隔検針システム」で、これは水道メーターにIoTデバイスを取り付けることで、定期的に検針データを送信し、遠隔で使用量を確かめられる。近年、集合住宅における管理者の人手不足や高齢化に伴い、管理者不在の集合住宅での使用料の確認と、階段で上り下りをしながらの1戸ごとの使用量の目視確認が管理者への大きな負担となり、課題となっている。

 これらの課題を解決するのが遠隔検針システム。通信機能付の「スマートメーター」から使用データを一括収集し、戸別料金を算出することで、管理者の負担を減らせる。また取得したデータを活用し、漏水などの異常検知や一人暮らし世帯の見守りなどのサービス拡充を図っている。

集合住宅向け水道メーター自動検針サービス(柏原計器工業) 提供:京セラコミュニケーションシステム

防犯カメラの異常検知システム

 4つ目は「防犯カメラの異常検知システム」。防犯カメラにSigfox通信機能を搭載し、定期的に動作状況を送信。防犯カメラに異常が発生した場合は、メールで通知する。近年、街頭防犯のため、さまざまな場所に防犯カメラが設置されているが、多くのカメラはブロードバンドに接続されておらず、撮影された画像データは、カメラ内部に保存されている。

 従来、これらのカメラが正常に動作しているかは、現地で確認するしかなかった。Sigfox通信機能を搭載した防犯カメラを導入することで、この課題は解消する。遠隔地から本体の状況を把握可能になり、機器に異常が発生した場合にはメールで通知することで、早期の異常の発見と、迅速な復旧を後押しする。

屋外ドームカメラ一体型レコーダー(TOA) 提供:京セラコミュニケーションシステム

おわりに

 京セラコミュニケーションシステムは、「すべてのモノが“つながる”新たな未来へ」をテーマに、これまで思いもしなかったさまざまなものをネットワークにつなぐことで新しい価値を提供している。

 先に事例を紹介したのり面・土留め・河川水位などは電気も通っていない超アナログなものである。これらの状態をセンシングしクラウドに蓄積・可視化する。これがIoTの1つのカタチであり、その可能性は無限である。

 従来、通信技術は高速・大容量を目指して進歩してきており、昨今脚光を浴びている5Gの技術はAIや仮想現実とあいまってより高度なICT社会を提案している。そのような流れと逆行するように、Sigfoxは爆発的に普及するセンサーから取り出したデータを簡単かつ安価にクラウドまで送れるネットワークの必要性を提案した、センサーに最適化された低容量・低速・長距離通信技術である。

 その結果、「年額100円※1からの低価格な通信費」「乾電池で数年間稼働可能な低消費電力」「シンプルな技術による低価格デバイス」を実現した。これにより事例で紹介したIoT化を従来のICT技術で実装することと比較すると、劇的に安い価格で実現できている。ご紹介した事例が現場の課題解決の一助になれば幸いである。

※1、通信料金は契約回線数および1日あたりの通信回数によって異なる

著者Profile

海野晃平/Kohei Unno

2014年京セラコミュニケーションシステムに入社し、2016年LPWAソリューション事業部に配属。Sigfoxネットワークの営業を経て、現在はサービス展開を加速させるため、技術者として、パートナーのソリューション立ち上げに従事。

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