CACHが、ひずみ(変形)の常時監視で構造物の異常を未然に検知する予防保全システムを「ワイヤレスIoT EXPO2019」で展示。通信にSigfoxを利用することで、測定器本体の乾電池交換を数年単位まで頻度を下げることが可能になり、クラウド利用と併せて低コストを実現している。
CACHは、「ワイヤレスIoT EXPO2019」(会期2019年5月29〜31日、東京ビッグサイト/ワイヤレスジャパン2019併催)の京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ブース内で、構造物や社会インフラの異常を遠隔で確認できるワイヤレスひずみモニタリングシステム「ST-COMM」を展示した。
橋梁(きょうりょう)やトンネルなどの道路構造物が建設から長期間経過し、これら社会インフラの老朽化対策が急務となっている。全国に橋梁の数は約70万橋、トンネルは約1万本あるが、国土交通省の試算では建設後50年以上を経過した施設の割合は2023年には橋梁が43%でトンネルが34%、2033年には橋梁が67%でトンネルが50%となり、計画的な予防保全への取り組みが求めれられている。
「トンネルの落盤や橋梁落下など道路構造物の老朽化による事故が近年増えている中で定期点検の義務化と期間短縮の流れがあるが、人手不足で点検する技術者や予算の確保が難しくなっている。事後保全(損傷が深刻化してから大規模な修繕を実施)から予防保全へ転換していくためにも、低コストで簡単に遠隔常時監視ができるシステムが求められていた」(CACH担当者)
ST-COMMは、構造物のひずみ(変形)具合を常時監視することで、異常を未然に防ぐ予防保全システム。構造物にST-COMMを設置し、ひずみセンサー(ひずみゲージ)からの測定データをクラウドサーバに送信、Webアプリケーションを介して遠隔で測定データを確認できる。ひずみセンサーは既存製品(抵抗値が120オームのもの)を利用でき、ST-COMMに最大4つまで接続可能。コンクリート用、木材用、金属用、プラスチック用などひずみセンサーを変えることで、さまざまな素材の構造物をモニタリングできるという。
ひずみ(変形)の確認は、ひずみデータを時系列でグラフ化したものを表示。ST-COMMの本体内に加速度センサーと温湿度センサーも搭載し、温度や湿度のモニタリングや地震発生時に非常送信を行うといった設定もWebアプリケーション上で行える。
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