土砂をぜん動ポンプで運ぶには、土砂の粒子の性状と含水比で異なる搬送抵抗をどのように緩和させるかが課題だった。そこで、土砂の粒子の性状・含水比・搬送特性の関係を分析し、土砂の締め固まりによる搬送抵抗を緩和するようにゴムチューブの形状に工夫を加え、搬送経路上で含水比を調整できる機構を設けることで、土砂搬送を可能にした。
土砂搬送ぜん動ポンプは、小型機と、直径が2倍の大きさの大型機をそれぞれ製作したという。大型機は、スケール効果と容量増加の相乗効果により、小型機と比較して、8倍以上の容積の土砂を運べる。
大型機は単なる大型化だけにとどまらず、連結部材の削減・部材形状の簡素化・ユニット交換の省力化・フレームの目詰まり防止、人工筋肉とゴムチューブの耐久性を考慮した再設計など、建設現場での実際の運用を見据えた各種改良を施した。ぜん動ポンプの制御プログラムとインタフェースも併せて開発することで、柔軟な動作を制御することが可能になった。
今後、試運転を経て、搬送効率に対するスケール効果の検証や制御の最適化などの技術課題を解決するための実験を2020年6月末まで実施する。加えて、ポンプ内部のセンシングとそれに連動した自動制御システムの開発によるさらなる搬送効率の向上を目指すという。なお、本試作機の設計・製作は中央大学発ベンチャー企業であるソラリスが実施している。
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