横河システム建築、サッカー場の天然芝ピッチ昇降システム開発産業動向

横河システム建築は、多機能複合型スタジアムとして利用できる「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を開発した。既存のサッカースタジアムなどに低コストで導入でき、サッカー以外の多様なイベントにも対応可能となる。

» 2019年12月18日 08時00分 公開
[BUILT]

 横河システム建築は2019年11月19日、多機能複合型スタジアムとして利用できる「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を開発した。既存のサッカースタジアムなどに低コストで後付けで導入でき、サッカー以外の多様なイベントにも対応可能となる。

photo 競技場天然芝ピッチ昇降システム概要 出典:横河システム建築

 これまでピッチの昇降装置は150〜200億円程度のコストを要していたが、同システムを採用することでおおよそ3分の1〜4分の1にコスト削減を実現できるという。同システムに加え、拡張展開型客席、大移動型可動客席、可動型センタースクリーン、日除けシェードなどの付属機能も併せて発表した。

 ピッチ昇降機構とは、ワイヤとサッカー用天然芝ピッチに内蔵したフックとをつなげ、上空に持ち上げるシステムだ。ピッチ本体を屋根として上部へ稼働させることで屋根として利用し、屋根利用時には芝の育成ができる。一方、屋根利用時には屋内型施設としてさまざまなイベントの開催も可能だ。

 ピッチ上架時には二重の免振機能を持たせ、下部フレームの大幅な軽量化を行った。ピッチ上昇後のピットの深さも2メートル程度と浅くできるため、スタジアム本体を含め全体のコストダウンにもつながる。

 近年、スポーツビジネスはますます盛り上がりを見せ、その経済効果は15兆円規模といわれている。しかし、国内のスポーツ施設の現状は中途半端な施設が多く稼働率の低い施設が多い。そのため、施設の稼働率や集客数の増加の向上を図るためにさまざまな取り組みや検討がなされているのが現状だ。具体的には、スタジアムの改修計画およびサッカー利用以外を想定した、施設稼働率が高い多機能複合型スタジアムが要望されている実態があるという。

 同社は「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を提案することで、今後もスタジアムが抱える課題解決を図る。

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