飛島建設、東亜建設工業は、低振動・低騒音施工に加え環境に配慮した目荒らし工法(ブラストキー工法)に関する技術を拡大。これにより広範囲の接合部に用いることが可能となる
飛島建設、東亜建設工業の2社は、低振動・低騒音施工に加え環境に配慮した目荒らし工法(ブラストキー工法)に関する技術を拡大し、「チッピングによる目荒らしを簡易にブラストキーへ置換する設計手法」「建築構造物全般の接合部に適用、管理のできる目荒らし工法」を新たに開発したことを明らかにした。これにより広範囲の接合部に用いることが可能となる。
従来のチッピング工法(コンクリート表面に不規則な凹凸を形成する)による目荒らし(既存側のコンクリート表面を荒らす作業)は、躯体に電動ハンマにより打撃を与えるため、大きな音や振動が発生することに加え、多くの粉塵(じん)が生じるなど、施工時の周辺環境の悪化を招く。そのため、耐震補強工事を例にすると、チッピング工法は特に居住者が住みながらの施工では、苦情の対象となる場合があった。
ブラストキー工法による目荒らしは、躯体面に打撃を与えないコアドリルを用いるため、騒音や振動が大幅に低減され、また、施工時の粉塵の発生を少なくすることができる。施工時の周辺環境を大きく損なうことなく、工事を行うことができる。
開発2社は、今まで不規則な形状・面積とせん断耐力の関係が明確でないチッピングの形状や面積を各種実験により究明し、これらとせん断耐力の関係を解明した。ブラストキーにおいても、同様に構造性能を把握したことで、チッピングをブラストキーへ置換する設計手法を確立した。具体的には、「接合面全体の面積」と「目荒らし面積比(チッピングによる目荒らし面積の接合面全体の面積に対する比)」のみが分かれば、ブラストキーの個数が容易に算定できる設計手法になる。
またブラストキー工法の場合、ブラストキーの個数と深さで容易に管理しやすくなり、壁・柱・梁の増し打ち部、耐震補強の鉄骨ブレース補強や制震補強の間接接合部など、多くの箇所にブラストキー工法を適用できるようになった。
今後も、設計事務所や工事施工会社への会員参加を募り、ブラストキー工法の施工実績を増やすとともに、社会に貢献できる技術開発を進めていくとしている。
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