太陽光や外気温に合わせてガラスの色を自由に調節できるスマート調光ガラス「ヘイリオ」が、ベルギーのシニア向け介護施設に採用された。ヘルスケア施設にヘイリオが導入されるのは世界初となる。
米国のキネストラル・テクノロジーズは2019年11月、同社が開発・製造する「ヘイリオ」が、ベルギーのシニア向け介護施設「アヴォゾン」の天窓132枚に採用されたと発表した。ヘイリオは、太陽の光や気温などの気象条件に合わせて、リモコンや音声を使いガラスの色を変えることができる高性能スマート調光ガラス。高齢者介護施設へのヘイリオ導入は世界初の試みであり、スマート調光ガラスが高齢者の健康にもたらすメリットに注目が集まる。
ヘイリオは通常のガラスと見た目は変わらないが、リモコンや音声操作によって3分足らずで透明と最暗の切り替えができる他、建物外部に設置したソーラーセンサーによって日照や気温を感知し、気象条件に合わせた自動調光をすることもできる。
今回、アヴォゾンの天窓にヘイリオを導入したことで、天井全体が自然光を最大限に取り入れられるガラスルーフとなった。これにより、施設入居者の健康面に与えるさまざまなメリットが期待されている。
例えば、高齢者は眼に入った光刺激が視神経に伝わりにくいため、ヘイリオにより室内を十分に明るくすることで、入居者の視力調整や転倒防止といった効果が期待できる。日中に適量の日差しを浴びることは、体内時計を適切に調整し、質の良い睡眠にもつながる。
また、室内に自然光を取り入れ十分な明るさを保つことには、精神を適度に刺激したり、眼精疲労を和らげたりする効果もある。これにより入居者の活動意欲や活動量が増進し、結果として施設スタッフの仕事量が減るという副次的効果も期待できるという。
ヘイリオの独占販売権は、スマート調光技術の特許を保有するキネストラル・テクノロジーズと世界最大手ガラスメーカーAGCとの合弁会社であるHalio InternationalおよびHalio North Americaが持つ。ヘイリオの詳細は製品Webサイトから確認できる。
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