インフラの維持管理計画を容易に作れる「土木インフラ維持管理計画の作成支援技術」を開発検査・維持管理(2/2 ページ)

» 2019年12月06日 09時00分 公開
[BUILT]
前のページへ 1|2       

予防保全に必要なコストと効果の見える化も可能

 土木インフラ維持管理計画の作成支援技術は、予防保全に必要なコストと効果の見える化も実現している。

劣化進行に対応した補修コストを見える化する劣化・コストモデル 出典:三菱電機

 ひび割れの深さやコンクリートの剥落面積など、損傷の種類と度合いによって補修工法が異なり、それに応じて補修コストも変化する。三菱電機は、この問題を解消するため、損傷の種類と度合いに応じて補修コストを算出する「補修コストモデル」を作成し、「劣化進行モデル」と組み合わせた「劣化・コストモデル」により、劣化進行に対応した補修コストの見積もりを可能にした。

 両モデルは、補修時期に達した時点での補修コストを一律に決定するのではなく、補修時期に達する前後の時期でも、劣化の進行度合いに対応した補修コストの把握を後押しするため、劣化が深刻になる前に、補修して寿命を延ばす予防保全に必要なコストと効果を可視化する。

 また、土木インフラ維持管理計画の作成支援技術は、維持管理における目的指標の重要度を区分し、管理者が優先する目的を的確に計画に反映する。

 管理者は、「災害時の避難経路確保を最優先にしたい」「コンクリート片落下による第三者被害を防ぎたい」など、インフラに対するさまざまな維持管理目的を持っている。これらの目的を、要補修レベルや、落下物の第三者被害による経済損失などの指標に変換し、劣化・コストモデルと合わせて定式化することで、最適化問題として解ける。

 これにより、例えば、比較のために複数の予算案を作成するなど、多種多様な案の作成を簡単にする。膨大な数のインフラの劣化進行や補修時期、補修コストを導き出し、管理者の多様な維持管理目的を考慮し、複数の維持管理計画案を容易に作成・提示できるため、計画案に対する多面的な評価も推進する。

 さらに要補修レベルの引き上げなど、指標の重みづけを変えられるため、管理者が優先する目的を的確に反映し、管理者の意図に沿った維持管理計画を作れる。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.