橋梁点検ドローンの教育プログラム、操縦技術を認定ドローン

大日本コンサルタントは、FLIGHTSと共同で、橋梁点検に対応したドローン「マルコ」に特化した認定講習を年内にもスタートさせる。

» 2019年11月07日 05時00分 公開
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 大日本コンサルタントとFLIGHTSは2019年11月5日、橋梁(きょうりょう)点検用のドローン「マルコ」の社会実装を目標に、教育プログラムの作成や講習会、マルコ操縦者の技術認定講習会を開催することを発表した。第1回の講習会を2019年12月に開き、その後は全国展開を計画していく。

橋梁点検ドローンの研究開発で得たノウハウを事業者に提供

 マルコは、機体開発を川田テクノロジーズが担当し、現場へのインテグレーションと改良へのフィードバックを大日本コンサルタントが担って、産業技術総合研究所らとともに共同で改良を重ねてきた橋梁点検に特化したドローン。橋の周囲で発生する複雑な風の変化に対応する回転翼機構を備えているのが特徴で、搭載しているカメラは幅0.05ミリのひび割れを検知する。

 機体サイズも、地上以外に点検車からの運用も考慮して、点検ドローンとしては小型の外形寸法を90センチ四方としている。さらにローターガードは簡単に取り外せ、運搬時には52×52センチまでコンパクトにすることができる。

2018年に開発したドローン「マルコ」(左)、橋梁点検中のマルコ(右) 出典:大日本コンサルタント

 講習会開催の背景には、国土交通省 道路局が提示した「道路橋定期点検要領(平成31年2月)」で、「自らの近接目視によるときと同等の健全性を診断できる情報が得られると判断した方法」が認められ、合わせて「定期点検を行う際の参考資料」として、「新技術利用の際のガイドライン(案)(平成31年2月)」「点検支援技術性能カタログ(案)(平成31年2月)」も示されたことがある。このうちカタログ(案)には、橋梁点検用ドローンの点検支援技術が明記されているため、これを機にドローンを利用した点検が普及していくことが推測される。

 一方で、点検現場では、ドローンや画像処理など、これまでなじみのない新技術を導入することになるため、さまざまな障壁が顕在化することも見込まれている。そこで、大日本コンサルタントは、マルコの研究開発過程で取得したノウハウを広く共有することが、点検支援技術の社会実装にあたっては必要と判断。橋梁などの土木構造物を管理する発注者、委託業務を請けて点検計画を策定する建設コンサルタント、実際に点検する点検会社を対象に、ドローンを利用した橋梁点検講習会と、操縦技術認定講習会を開催するに至った。

大日本コンサルタントとFLIGHTSの協業イメージ 出典:大日本コンサルタント

 橋梁点検講習会は,ドローン点検に関する一般的な事項(飛行原理、法律・規則)に加えて、法規制、許認可事項、安全対策やドローン特有の点検ノウハウ、画像取得時の解像度などの必要条件といった必要な知識を提供する。

 操縦技術の認定講習会では、マルコが装備する可変ピッチローターや近接・正対制御の手法をレクチャーし、実際の操縦で起動手順、制御を受けた状態でのコントロール方法、橋梁点検特有のフライト技術や注意事項をプログラムを通して学ぶ。講習の修了者には、技能を認める証明書が発行されるという。

FLIGHTS 代表取締役・峠下周平氏(左)、大日本コンサルタント 代表取締役社執行役員・新井伸博氏(右) 出典:大日本コンサルタント

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