建築確認申請と施工時のBIM活用に対応した「GLOOBE 2020」を発売BIM

福井コンピュータアーキテクトは、建築確認申請や施工段階でのBIM活用を踏まえた国産BIMソフトウェア「GLOOBE 2020」の最新バージョンをリリースする。

» 2019年10月30日 07時00分 公開
[BUILT]

 福井コンピュータアーキテクトは2019年11月12日、国産BIM建築設計システム「GLOOBE 2020」を発売する。

複数で作業を行えるシステムを搭載

 新バージョンは、GLOOBEで作成したデータを用いた建築確認申請「BIM確認申請」を後押しする機能を強化。BIM確認申請は、GLOOBEのユーザ会「J-BIM研究会」やスターツCAM、指定確認検査機関の日本ERI、福井コンピュータアーキテクトが運用に向け、以前から協業している。

 最近の取り組みでは、福井コンピュータアーキテクトとJ-BIM研究会が2019年8月22日、旧バージョンとなる「GLOOBE 2019」の確認申請テンプレートの無償配布を開始した。同テンプレートの技術検証は、スターツCAMが中心となり、日本ERI、福井コンピュータアーキテクトとともに、実案件で2018年に実施。

 BIM確認申請は、通常複数の図面を照らし合わせながら進めるワークフローを、PCの画面上で完結させられるなどの利点があり、実用化に対して業界から関心が寄せられている。

色分け表示に対応した申請面積の表示設定や床面積区画の整合性チェック機能 提供:福井コンピュータアーキテクト

 GLOOBE 2020は、BIM確認申請を容易にするため、新たなアプローチをしている。申請面積の制作では、モデル段階での入力・編集に対応し、実際のスペースとの整合性を確かめられる機能を実装。面積区画に関するコマンドでは、面積種別を拡張し、色分け表示にも応じ、視認性の高いモデル構築が容易だ。

 また、用途地域ごとに容積率・建ぺい率を按分(あんぶん)させられるため敷地面積の現状が分かりやすい。床面積区画とスペースとの重なりチェックし、一致しているかも導き出せる。構造審査での使用を考慮し、躯体の断面サイズと符合だけを比べられる上、躯体取り込み機能で断面リスト・配置部材の更新を図れる。

躯体チェック機能 提供:福井コンピュータアーキテクト

 複数のメンバーが同じプロジェクトで、業務を振り分け、共同してモデルを作れる「クラウドサーバー対応チームシステム」を標準搭載したことも今回のアップデートの特徴だ。差分データの積み上げや履歴管理が行え、特定時点のデータの取得が可能。通信障害が発生した場合でも直前までの状態を保存し残せる。

クラウドサーバー対応チームシステム 提供:福井コンピュータアーキテクト

 施工段階におけるBIM活用の普及を受けて、ゼネコン・専門工事会社の利用を想定した新オプション「躯体図出力」も追加している。このオプションは、GLOOBEのモデル情報から見上図・見下図・屋上伏図・基礎伏図・杭伏図・底盤伏図・断面図などの躯体図を自動作成する。

躯体図出力機能 提供:福井コンピュータアーキテクト

 さらに、記号の基本情報に編集用のダイアログボックスを用意しており、それぞれの部材における種別ごとのエディットが可能。杭、異厚フカシなどの新規オブジェクトも備えており、IFCファイル形式でJ-BIM施工図CAD(施工図作成システム「J-BIM 施工図 CAD 2019」以降)と連携する。

 この他、GLOOBEデータの3DPDF出力や経緯度基準点が設定されている際に、座標系指定で点群を自動配置する機能が加わった。

 GLOOBE本体の基本価格は65万円(税別)からで、新オプションの躯体図出力が10万円(税別)。

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