大林組と立花マテリアルは、地盤改良土に含まれる固化材の量を建設現場で計測する新システムを開発した。計測時間3分ほどで、土の強度を把握できるため、手戻りの無い施工が実現する。
大林組は立花マテリアルと共同で、地盤改良土に含まれる固化材の量を塩酸溶解熱法によって、建設現場で容易に計測できるシステム「e−セメダス」を開発した。
e−セメダスで採用している塩酸溶解熱法は、採取した改良土に塩酸を加えることで固化材と化学反応させ、その反応熱から固化材の量を算定する方法。断熱容器に土と固化材を混ぜた直後の土100グラムと塩酸100ミリリットルを入れ、温度計が取り付けられた混合装置で化学反応させて、反応熱を計測する。
計測データは、反応熱が最高温度に達した時点で、演算装置へと自動的に取り込まれ、事前試験の結果との関係から固化材の量を算定する。装置は小型で設置が容易なことに加え、操作方法はタッチパネル式のため誰でも簡単に操作でき、わずか3分で結果が得られる。
一般的に軟弱な地盤の上に盛土やコンクリート構造物を構築する場合は、地盤沈下やすべり崩壊を防ぐため、土にセメントなどの固化材を混ぜて地盤を固く改良している。施工後の品質確認試験では、試験会社に依頼して専門技術者が強度を計測するが、土と固化材を混ぜた直後の土を採取し、土の強度を確認するまでに固結期間を含めて1週間もかかってしまうことがネックとなっていた。
また、塩酸溶解熱法は、事前試験日と測定日との気温差の影響で、水、塩酸、土の温度が変化して計測精度が低下してしまうことがハードルだった。その点、e−セメダスでは、水、塩酸、土の温度を自動で計測し、補正式を活用することによって、温度変化による影響を極力排除。実際に精度検証試験では、±5%程度の精度で固化材の量を計測できることが確認されたという。
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