リストグループは、2010年に日本国内での独占営業権を取得した海外不動産ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ」のネットワークを活用した売買取引で、ITを活用し、国内外の事業所の物件情報の円滑な共有を可能にした。
朝日インタラクティブは2019年8月28日、東京都千代田区の御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで、セミナー「CNET Japan Conference 不動産テックカンファレンス2019 不動産業界の未来を輝かせる『テクノロジー・ビジネス・人材』の活かし方」をリブセンスと共催した。
当日のセミナーのうち、不動産の分譲や販売、管理、運用などを展開するリスト 情報システム部 IT Managerの松村知幸氏と同部 IT Engineerの仙田龍之介氏が行った講演「クロスボーダーな不動産取引を実現する物件・顧客管理システムの開発秘話〜グローバルなメンバーで構成される開発プロジェクトの裏側をご紹介〜」をレポートする。両氏は、国内外にある拠点の不動産販売状況やユーザー情報などを見える化するシステムを紹介した。
冒頭、松村氏は、同社を中心にホールディングス化されたリストグループとシステムの開発経緯について触れた。
リストは1991年に、不動産の仲介会社として神奈川県横浜市で創業し、戸建て・マンションの開発・分譲事業やアセットマネジメント事業、再開発事業で堅調に拡大。2016年には国内外に関連会社を持つリストグループとなった。
国内外にある拠点の不動産販売状況やユーザー情報などを見える化するシステムは、リストグループの中核ブランドであるリスト サザビーズ インターナショナル リアルティの国内外の事業所で共同開発した。リスト サザビーズ インターナショナル リアルティは、国内10拠点、ハワイに2拠点、シンガポール、香港、タイ、フィリピンにそれぞれ1拠点ずつ有している。
システムの開発背景について、松村氏は「国外の事業所からの報告が正確な情報でなかったため、開発に取り組んだ。具体的には、報告書に記載のHPへのアクセス数や問い合わせ件数の抽出方法が不透明だったため、反響の把握が難しかった。迅速に受け取りたいデータでも、メールでの打診や時差を考慮した電話、Web会議などの手間を要していたことと、言語の違いによる意思疎通の困難さも問題だった」と語った。
こうした課題が生じた要因については、顧客データのフォーマットやユーザーの管理方法、物件のプロモーションのやり方、住宅の取引の手法、プロジェクトマネジメントの方式の違いを列挙した。
海外におけるシステム開発の現状とシステムの開発メンバーについて、「世界から見ると、日本のように外部にシステムの製作を発注する方が珍しい。アメリカでは業務で使うシステムの6〜7割を自社開発していると聞く。システムの開発に関しては、日本のIT部門の責任者をプロジェクトリーダーとし、香港、シンガポールでもリーダーを据えチームを編成した」と述べた。
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