積水ハウスの“36階建て超高層マンション”が経産省「ZEH-M実証事業」に採択ZEH-M

» 2019年09月19日 12時00分 公開
[石原忍BUILT]

 積水ハウスは2019年9月18日、大阪市中央区の全住戸で燃料電池を採用した36階建て超高層マンション「(仮称)上町一丁目タワーPJ」が、集合住宅のZEH化を促進するための実証事業として、経済産業省の「2019年度 超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に、採択されたことを明らかにした。

建物全体の1次エネルギー収支ゼロ「ZEH-M」

 ZEH-Mは2018年に定義付けられた集合住宅のZEHで、共用部も含め住棟全体で一次エネルギー収支でゼロの集合住宅を指す。

 上町一丁目タワーPJは、全住戸の開口部で、日本板硝子の高性能真空ペアガラス「スーパースペーシア」を採用。広い開口面積を維持しつつ、北海道の建築物エネルギー消費性能基準値0.46W/m2K(ワットパーヘイベイケルビン)より高い、0.42W/m2Kの断熱性能を確保している。

スーパースペーシアの断熱性能 出典:積水ハウス
積水ハウスの眺望を十分取り込んだ開放的なリビング 出典:積水ハウス

 さらに、給湯設備の省エネ設計では、当初検討していた潜熱回収型ガス給湯器「エコジョーズ」から、より1次エネルギー消費削減率の見込める「家庭用燃料電池(エネファーム)」に変更して全住戸で導入。これを熱源とした床暖房や高効率エアコン、LED照明などの省エネ設備群により、全戸で快適性と省エネを兼ね備えた居室空間が実現した。

 また、開口部とエコファームを組み合わせることで、全住戸でZEH基準を満たし、建物全体の評価となるZEH-Mの基準も同時にクリアした。CO2排出削減量は、年間283トンにおよび樹木約2万本が1年間で吸収する量(樹木1本の年間CO2吸収量を14kg-CO2で算出)に相当するという。

 経済産業省の「超高層ZEH-M実証事業」は、集合住宅のZEH-M普及を促進するための補助事業。集合住宅のZEH化を取り巻く目標や課題の存在を踏まえ、集合住宅ZEH化の設計ガイドラインを策定するために必要な実証事業を公募し、設計仕様やエネルギー性能に関する情報を提供する事業者に対し、ZEH-M化に掛かる費用の一部を補助する。

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