積水ハウスは、2050年の脱炭素を目指し、住宅分野で独自の環境戦略に取り組んでいる。主力となるゼロエネルギー住宅は、2018年度ベースで新築に占めるZEH比率は79%と国内で最多。その基本理念には、単純に省エネの実現だけでなく、顧客のことを考えた住みやすさやデザイン性も考慮し、事業戦略と一体で進め、一時的では無い持続可能性を持った取り組みとすることが掲げられている。
積水ハウスは2019年9月6日、東京・大手町で2019年度第2四半期の経営計画説明会を開催し、その中で「ESG(環境・社会・ガバナンス)経営のリーダーを目指す積水ハウスの環境戦略」と題した講演も行った。登壇者は、常務執行役員 環境推進担当の石田建一氏。
石田氏は、「積水ハウスは単に家を売っているのではなく、ビジョンで標ぼうする健康・快適・安全・安心をもたらす、“幸せな人生”を提供している企業だ」と話す。しかし、近年、多発している集中豪雨や台風、地震などの災害を考えると、災害に対応した積水ハウスの家に住むオーナーだけが幸せ(無事)であれば良いのではなく、災害時に周辺の住民も含めた安全が必要で、そのためには「ハウスメーカーとして、社会課題である温暖化対策に取り組みのは必須のこと」と説明する。
住宅は、当然ながら家電や自動車よりも、耐久性が長く求められ、長寿命化のためには50年、100年にわたる維持修繕のサポートが必要となる。そのことは同時に、積水ハウスの「住」事業自体が100年以上継続し、社会から必要とされる企業であり続けなければならないことも意味する。
社会への貢献としての温暖化対策では、世界的な気候変動を1.5度以内に抑えるため、世界的な潮流となっている脱炭素に向けたロードマップに沿い、主力の住宅事業を展開している。契機となったのは2008年で、2050年までに脱炭素を宣言し、2009年にはCO2を50%以上削減する住宅モデル「GreenFirst」、2013年にはゼロエネルギーハウス「GreenFirstZERO」をそれぞれ発売。その後、2017年には国内で2番目に、電力を2040年までに100%再生可能エネルギーとすることを目標とした「RE100(アールイー100)宣言」、2018年には産業界で初となる気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同も表明している。
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