ZEH累積棟数で世界No.1、“植栽もスゴイ”【積水ハウス】が考える住宅の「環境戦略」ZEH(2/3 ページ)

» 2019年09月13日 05時17分 公開
[石原忍BUILT]

デザインの有意性が将来のZEH差別化に

 戸建て住宅のブランドGreenFirstは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を掲げ、2003年から運用をスタートさせた瓦型の太陽光発電を備え、次世代タイプの断熱材やLED照明・高効率エアコン・省エネ節水便座といった設備機器を採用し、残りを燃料電池に回すことで、居住空間のCO2を減らす。

 瓦型の屋根について石田氏は、「端から端までぴったりと屋根に収まるのが利点。省エネのためにだけではなく、快適性のための家づくりが基本。ZEHの購入者は、性能よりもデザインを判断基準にして購入するはず。将来、ZEHが義務化されれば、デザインの有意性が他のメーカーとの差別化にもつながる」と解説。

 これまでにZEHは、2019年4〜7月の最新実績ベースで85%に対応し、2013〜2019年7月累積棟数では世界1位となる4万7575棟もの棟数を建てている。「曇りの日が連日続いた場合や日本の四季を考えると、太陽光と蓄電池よりも望ましい」とする燃料電池の設置棟数に至っては、5万4756棟(2019年7月時点)。2018年に大阪都市部を襲った台風被害では、850棟のエネファームが昼夜を問わず電力を供給し続け、停電に見舞われた近隣住民も利用することがあったという。

2028年度のZEH比率実績

 ゼロエネルギーの事業領域は、戸建て住宅だけではなく、賃貸住宅・マンションでの市場創出も見込んでいる。初弾として2019年2月には日本初の全住戸ZEHマンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」(RC造・3階建て、12戸)が完成。現在は、全住戸で燃料電池の採用や大開口でもZEHの断熱基準を満たすスーパースペーシア(真空ガラス)を採り入れた36階建ての高層マンションも、2022年11月の竣工予定で計画が進められている。

 さらにその先には、まだ他社に比べて実績が少ない、非住宅領域のZEBをも見据える。その先駆けとして、2018年9月には、東北初のZEB「Nearly ZEB」を実現したグループ企業である積和建設東北の本社社屋が完成している。

全事業領域でのゼロエネルギーを視野に入れる
積水ハウス 常務執行役員 環境推進担当の石田建一氏

 グローバルでのトレンドをみると、ZEH戦略は世界中で拡大している。とくに米国や豪州では、“住宅は投資対象”との考えから、石田氏は「未来の住宅仕様を先取りしているZEHは、次に売る際、既に標準の基準を満たしているため高く売れ、住んでいる間は健康・快適・安全安心・光熱費削減のメリットを享受できる」と、海外でもZEHが重要なキーワードになっていることを指摘した。

 また、積水ハウスの環境戦略の特徴は、事業戦略と一体化されていることにある。ZEHのGreenFirstモデルを販売し始めてから、CO2排出削減率と売上高営業利益率、顧客満足度、さらに戸建て住宅の1棟当たりの平均単価は全て連動して右肩上がりで上昇した。「社会貢献の事業だけでは、世の中が不景気になったとき、コストカットの観点から事業の撤退をしてしまうかもしれない。省エネかつ快適な住まいを提供することによって、住宅に付加価値を与えることになり、戸建て住宅の価格上昇ももたらされる」(石田氏)。

事業戦略と一体になった環境戦略

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