電気設備工事業は、コムシスホールディングス、きんでん、九電工、トーエネック、中電工の5社が増収増益(図表4)。業界トップの関電工は減収増益だが、売上高はほぼ横ばい。主要10社合計でも増収増益となり、業界全体として好調な傾向にある。赤字決算となったのはユアテックと日本電設工業の2社で、ともに前年同四半期も赤字決算だった。
管工事業は、高砂熱学工業、三機工業、ダイダン、新日本空調、テクノ菱和、ヤマトの6社が増収増益の結果(図表5)。主要10社合計でも、増収増益となり、全体として好調。業界大手の中では大気社が、海外での完成工事高の減少により、減収減益だった。
また、赤字決算となったのは、日比谷総合設備と大成温調で、両社ともに減収減益。三機工業と新日本空調は、前年同四半期は赤字決算だったが当期は黒字に転換した。
プラント・エンジニアリング業は、栗田工業、メタウォーター、太平電業、富士古河E&Cの4社が増収増益(図表6)。前年同四半期は大幅な赤字だった千代田化工建設は黒字を確保した。赤字のメタウォーターも、前年同四半期より赤字額が減少するなど、6社が増益となり、利益面の改善が進んでいる。
日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの大手3社の売上高が大幅に減少した影響で、主要10社合計では減収増益となったが、全体的には良好な決算といえる。
住宅建設業は、大和ハウス工業、ミサワホーム、ミサワホーム中国の3社が増収増益だった(図表7)。一方、飯田グループホールディングス、フジ住宅、サンヨーホームズ、細田工務店の4社は減収減益になるなど、6社で減益の結果だった。
ミサワホームとミサワホーム中国は、増益ながら赤字決算で、サンヨーホームズ、細田工務店、アールシーコアの3社は減益で赤字決算だった。主要10社の合計では、業界トップの大和ハウス工業が調子が伸長した影響を受け、増収増益となったが、業界全体としては厳しい決算だった。
ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「2020年3月期第1四半期の主要建設関連企業の決算結果を見ると、ゼネコンでは10社中7社が増収増益となり、好調さが目立った。土木工事業と電気整備工事業ではそれぞれ5社が、管工事業では6社が増収増益で、いずれの業種も、堅調な公共投資と民間の設備投資、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事などを背景に好調な決算となっている」。
「人手不足による工事の進捗遅れといった弊害や労務費の高騰による利益の圧迫といった事態は、今のところ表出してきていないが、建設技術者の有効求人倍率は2019年6月で6.33倍(前年同月比+0.72ポイント)と高止まりをしており、今後も建設技術者の確保は大きな課題になると考えられる」とコメントしている。
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